三輪執斎

三輪執斎（みわ しっさい）

三輪執斎（1669年 - 1744年）は、江戸時代中期の儒学者であり、陽明学への深い傾倒で知られています。彼の生涯は、学問への情熱と、時代の流れの中で自身の思想を追求する姿を映し出しています。

生涯

寛文9年（1669年）、三輪執斎は京都で、医者の子として生まれました。幼少期に両親を亡くし、白木屋創業者の大村彦太郎に引き取られるという経験をしました。その後、真野氏の養子となり、貞享4年（1686年）に江戸へ下ります。

江戸では、山崎闇斎の門下である佐藤直方に朱子学を学びました。しかし、中江藤樹の著作に触れることで、次第に陽明学へと傾倒していきます。元禄8年（1695年）には禄を辞し、本郷菊坂へ移りました。この背景には、彼の陽明学への傾倒が影響していたとも、藩主の信仰の変化が影響していたとも言われています。

元禄10年（1697年）には京都へ戻り、上賀茂村神山に住みました。そこで、京都所司代を務めていた松平信庸に教えを請われ、元禄14年（1701年）以降、京都各地を転々とします。享保元年（1716年）には、松平信庸に請われる形で再び江戸へ。享保11年（1726年）には、私塾である明倫堂を設立し、後進の育成に力を注ぎました。

晩年は喘息を患い、京都へ退居。明倫堂は門下である川田雄琴に引き継がれ、大洲の地へ移転することとなりました。元文4年（1739年）には、建仁寺両足院に父母の墓を建立し、自らの墓も建てました。寛保4年（1744年）に亡くなり、その生涯を閉じました。大正13年（1924年）には、正五位を贈位されています。

家族

三輪執斎は、大和国式上郡三輪神社神職大神氏を本姓としています。一族からは、関ヶ原の戦いで活躍した人物や、臨済僧なども輩出しています。儒教の祖先崇拝の影響から、本姓である三輪を名乗りました。

父：沢村自三
義母：山田氏
義兄：東溟惟深
母：都次
義妹：乙女
先妻：小野氏
* 後妻：久住氏

多くの子に恵まれ、それぞれが様々な道を歩んでいます。息子たちは幕臣や神職、大村家の養子となるなど、多岐にわたる活躍を見せました。

学問と思想

三輪執斎は、朱子学を学んだ後、陽明学に傾倒しました。陽明学は、実践的な道徳を重視する思想であり、彼の生き方にも大きな影響を与えたと考えられます。明倫堂を設立し、後進の育成に尽力したことも、彼の学問に対する姿勢を示すものと言えるでしょう。

三輪執斎の生涯は、学問への情熱と、自身の思想を追求する姿勢を通して、私たちに多くの示唆を与えてくれます。彼の思想は、現代においてもなお、学ぶべき点が多く存在すると言えるでしょう。

もう一度検索