上原尚近

上原尚近（うえはら なおちか）

上原尚近は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、島津氏の家臣として活躍しました。その出自は藤原氏に遡り、南北朝時代の武将である伊作田道材を先祖としています。

生涯

島津忠良に仕えた尚近は、その武勇をもって数々の戦で功績を挙げ、天正2年（1574年）には島津氏の家老という重職に就任しました。天正4年（1576年）には、日向国の高原城攻略戦に参加し、その手腕を発揮。高原城が降伏すると、城主に任命され、その後、高原の地頭も兼任することになりました。この頃、尚近は日向伊東氏に関する情報収集にも尽力し、伊東義祐と野尻城主・福永祐友の間に不和が生じていることを突き止めます。彼はこの状況を利用し、福永を島津方へ寝返らせるという謀略を成功させました。

耳川の戦いや合志城の攻略戦にも参加し、その武将としての才能を遺憾なく発揮。その後、日向国飫肥の地頭に任命され、飫肥城主となりました。しかし、天正15年（1587年）8月、豊臣秀吉による九州平定後、飫肥を拝領した伊東祐兵が曾井城から飫肥城へ移ろうとした際、尚近は城の受け渡しを断固として拒否。使者を殺害するという強硬手段に出ました。さらに、その罪を自身の嫡子に擦り付けるなど、徹底的に抵抗しました。この抵抗は翌年の6月まで続き、最終的には島津氏の説得を受け入れ、ようやく城から退去することとなりました。

上原尚近は、天正20年（1592年）にこの世を去り、高崎郷の縄瀬村小牧の墓に埋葬されました。その生涯は、戦国時代の武将としての勇猛さと、権力に屈しない強い意志を体現しています。主家のために尽力する一方で、自らの信念を貫き通したその生き様は、後世に語り継がれるべきでしょう。

参考文献

* 鹿児島県姓氏家系大辞典編纂委員会『鹿児島県姓氏家系大辞典』（1994年、角川書店）

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