高原城

高原城（たかはるじょう）

高原城は、宮崎県西諸県郡高原町に存在した日本の城（平山城）で、伊東四十八城の一つに数えられています。別名として松ヶ城とも呼ばれていました。

概要

築城は永禄年間（1558年-1570年）に、島津氏の家臣であった梅北掃部によって行われたとされています。城は全方位を険しい谷に囲まれた天然の要害であり、特に西側（現在の高原町総合運動公園）、北側、東側は深い谷が取り巻いています。南側の一部のみが平地に繋がっているという地形でした。本丸、二の丸、三の丸、そして取添丸の間には深い堀が設けられていました。城の領域は約350メートル四方に及んでいます。

現在では、宮崎自動車道の開通に伴い丘陵の一部が削り取られ、私有地となっている場所には住宅が立ち並んでいます。しかし、2011年（平成23年）3月には、高原町教育委員会によって案内板が国道221号の宮崎自動車道にかかる跨道橋南詰付近に設置されました。この案内板には、城址の地形図とともに、設置場所が虎口であることが明示されています。

歴史

高原城の歴史は、島津氏の城として始まりましたが、後に伊東氏が獲得しました。天文22年（1553年）には北原氏の城となりました。しかし、永禄2年（1559年）に伊東氏が北原氏の家督問題に介入し、北原領を奪ったことで、再び伊東氏の城となりました。その3年後、北原氏が北原兼親のもとで再興されると、北原氏を支援した島津氏と北郷氏によって城は奪還され、北原家の家臣である白坂下総介が城主を務めました。

しかし、北原氏は伊東氏が相良氏と手を組んだことで圧迫され、下総介は難を逃れるために北原家を出奔。これにより、城は3度伊東氏の所有となりました。この時、福永源左衛門が城主を務めましたが、木崎原の戦いで伊東氏が島津氏に敗北。高原城の守りを固めるため、伊東勘解由（長倉祐政）が城主に任命されました。

天正4年（1576年）8月19日、島津義久率いる3万の大軍による攻撃を受けました。島津軍は城下の防塁を払い除け、火を放って進撃路を確保しました。これにより、城兵は城に籠って防御せざるを得なくなりました。当時の城兵は370余名ほどでした。島津軍は二の門を破りましたが、三の門で激しい抵抗に遭い、多数の死傷者を出しました。そのため、島津軍は城の水源を断ちました。

翌20日には両軍の間で弓矢による攻撃が行われ、双方合わせて100名近い死傷者が出たと伝えられています。伊東義祐は城兵を救うために援軍を送りましたが、救援は間に合いませんでした。翌21日、水に困窮した城兵は矢文で和議を申し入れました。22日には交渉が行われ、23日に開城。長倉祐政ら城兵170余名は野尻方面へ退却しました。これにより高原城は島津氏の所有となり、その後、上原尚近が城主に任命され、高原の地頭も兼任しました。元和元年（1615年）の一国一城令により、高原城は廃城となりました。

脚注

宮崎県教育庁文化課 1998「地名表」『宮崎県中近世城館跡緊急分布調査報告書1（地名表・分布地図編）』宮崎県教育委員会 p.22
宮崎県教育庁文化課 1999「高原城」『宮崎県中近世城館跡緊急分布調査報告書2（詳説編）』宮崎県教育委員会 pp.147-148

関連項目

* 日本の城一覧

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