上川村 (新潟県東蒲原郡)

新潟県上川村：歴史と自然に彩られた山村の物語

2005年4月1日、新潟県東蒲原郡にあった上川村は、鹿瀬町、津川町、三川村とともに合併し、阿賀町となりました。本稿では、消滅した自治体として、かつて存在した上川村の魅力と歴史を紐解きます。

豊かな自然と歴史の息づく地

上川村は、河岸段丘が発達した山村地域でした。標高の高い場所には御神楽岳がそびえ立ち、常浪川が村を潤していました。縄文時代草創期から人が住み着き、室谷洞窟や小瀬ヶ沢洞窟からは貴重な遺跡が発見されています。これらの遺跡から出土した土器や石器、人骨などは、縄文時代の生活を知る上で重要な資料となっています。特に、国指定重要文化財「室谷洞窟遺跡出土品」は、長岡市立科学博物館に収蔵され、多くの人々に歴史を伝えています。現在も、発掘されていない縄文時代の貝塚が数多く存在すると考えられています。

また、上川村には、平家から逃亡した以仁王が生涯を終えたという伝説も残っています。村内には以仁王の墓と伝えられる場所がありますが、その真偽は不明です。

会津との深い繋がりと歴史の変遷

上川村の小川の庄は、会津地方と深い関係を持っていました。戦国時代以前から会津の属州として位置づけられ、津川の麒麟山にあった城の城主、金上氏は、上杉軍と幾度も戦いを繰り広げました。自然の要塞であったため、落城することはありませんでしたが、会津の蘆名氏の滅亡とともに、金上氏もその歴史に幕を閉じました。その後、会津の藩主は何度も変わり、保科氏の時代から本格的な会津の歴史が始まりました。

上川村では、漆の原木を維持管理し、年貢として納めていたと伝えられています。みつまたやこうぞといった和紙の原料も同様に、重要な生産物でした。会津戊辰戦争では、津川口の戦いなどに参戦し、その当時の刀剣を現在も所蔵している家も多く残っています。

廃藩置県後、上川村は当初若松県に属していましたが、県の再編により福島市を県庁所在地とする福島県となりました。しかし、県庁所在地までが遠すぎるという理由と、山縣有朋の判断から、上川村は新潟県に編入されることとなります。明治時代に生まれた村民の中には、会津への強い思いを抱いている人が多くいたと言われています。明治時代の村の区分は非常に細かく、昭和時代まで合併が繰り返され、現在も地名などにその名残が見られます。

2005年4月、小川の庄は一つとなり、阿賀町として新たな歴史を刻み始めました。

産業と現代

現在、上川村にはこれといった主力産業はありません。コシヒカリの産地ではありますが、農地の狭さから、南魚沼産コシヒカリのような安定した生産量を得ることができず、市場に出回る量はごくわずかでした。かつては西川鉱山をはじめとする小規模な鉱山が複数存在していましたが、現在は閉山しています。伝統産業としては、小出和紙が挙げられます。

交通と教育

上川村には鉄道は通っておらず、最寄りの駅は隣接する津川町のJR磐越西線津川駅でした。道路は磐越自動車道の上川PAがあり、新潟県道227号室谷津川線、新潟県道228号柴倉津川線、新潟県道354号黒倉野中線が通っていました。バス路線としては、新潟交通観光バス津川営業所の路線バスのほか、新潟市方面への高速バスも運行されていました。教育施設としては、上条小学校、三宝分小学校、七名小学校、西川小学校、神谷分校、上川中学校がありました。

まとめ

上川村は、豊かな自然と歴史、そして人々の暮らしが織りなす、魅力的な村でした。縄文時代からの歴史、会津との深い繋がり、そして現代への移り変わりを辿ることで、上川村の独特の文化と景観が理解できます。阿賀町の一部として、その歴史と文化は受け継がれ、未来へと繋がっていくでしょう。

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