上海汽車集団

上海汽車集団股份有限公司：中国自動車産業の巨人

上海汽車集団股份有限公司（SAIC Motor）、略称上汽集団は、中国上海市に本社を置く、中国を代表する大手自動車メーカーです。第一汽車、東風汽車とともに中国三大自動車メーカーの一つに数えられ、長安汽車、奇瑞汽車を加えた「ビッグ5」にも名を連ねています。

輝かしい歴史とグローバルな展開

1958年の「鳳凰」セダンの試作成功から始まり、1990年代にはドイツのフォルクスワーゲン、アメリカのゼネラルモーターズといった世界的な自動車メーカーと相次いで合弁会社を設立しました。フォルクスワーゲンとの合弁会社「上海大衆汽車」では、VWサンタナを生産。このモデルは、上海のタクシーでも広く使われ、中国の自動車史に大きな足跡を残しました。ゼネラルモーターズとの合弁会社「上海通用汽車」では、キャデラック、ビュイック、シボレーなどのブランドを生産、販売しています。

2004年には、イギリスのMGローバーとの資本・技術提携を発表しましたが、翌年には提携が解消。その後、MGローバーの知的財産権の一部を取得し、高級車ブランド「Roewe（栄威）」を立ち上げました。また、韓国の双竜自動車の株式を取得したものの、後に売却しています。

近年では、広州汽車集団との包括的な提携を発表し、技術開発や海外市場開拓において協力を進めています。さらに、水素エネルギー戦略にも積極的に取り組み、2025年までに水素燃料電池自動車を10モデル以上発売する計画を発表するなど、環境問題への配慮も示しています。2022年には、中国石油化工集団、中国石油天然気、CATLと共同で、電気自動車の電池交換ステーションの建設を発表し、EVインフラ整備にも注力しています。

自主ブランドの育成と多様な事業展開

中国国内では、民族系メーカーによる自主ブランドの台頭が著しい中、上汽集団は比較的慎重な姿勢を保ちながらも、MGやRoeweといった自主ブランドを積極的に育成してきました。これらのブランドは、中国国内だけでなく、海外市場にも進出しています。

上汽集団は、多くの部品子会社を抱え、垂直統合された企業体制を構築しています。Maxus（大同）は、MGやRoeweなどを傘下に持つ上汽集団の完全子会社として、グローバルな事業展開を担っています。上汽大通汽車は、バン、ミニバン、SUV、ピックアップトラックなどを製造・販売しており、幅広い顧客ニーズに対応しています。さらに、GMとの合弁で設立された汎亜汽車技術中心は、技術開発の中核を担っています。

未来への展望

上汽集団は、中国自動車産業のリーディングカンパニーとして、技術革新、グローバル化、環境対策といった課題に果敢に挑戦し続けています。EVや水素エネルギーへの取り組み、電池交換ステーションの建設など、未来を見据えた戦略は、中国のみならず世界市場において、その存在感をますます高めていくことでしょう。中国の自動車産業の将来を占う上で、上汽集団の動向は非常に重要な意味を持っています。

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