上行寺 (鎌倉市)

上行寺の概要

上行寺（じょうぎょうじ）は、神奈川県鎌倉市大町に位置する日蓮宗の寺院です。法久山を山号とし、大前院が院号です。この寺は正和2年、すなわち1313年に日範上人によって創建されました。特に癌封じの寺として広く知られており、訪れる人々の信仰を集めています。本尊は三宝祖師です。

歴史と文化

上行寺の本堂は1886年（明治19年）に建立され、その設計には名越の妙法寺にある法華堂が移築されたとされています。堂内には、日蓮上人像や開山の日範上人像、水天像など重要な仏像が安置されています。また、格天井には花鳥の美しい絵が描かれ、欄間には十二支の彫刻が施されており、訪れる人々を楽しませます。

境内には瘡守稲荷堂があり、万病、特に癌に効果があるとされており、こちらも多くの信者の訪問を受けています。さらに、鬼子母神を祀る浄行堂もあります。これらの場所は、信仰や願いを込めて立ち寄る人々にとって、大切な場所となっています。

また、上行寺の山門には左甚五郎作とされる竜の美しい彫刻が施されています。本堂の表欄間や梁には熊本藩の大名である細川氏による竜の彫刻があり、これらの芸術作品は上行寺の重要な文化財とされています。

幕末の逸話

万延元年（1860年）には、桜田門外の変で井伊直弼を襲撃した水戸浪士の一人である広木松之介が鎌倉に逃げ込んだ際、上行寺にかくまわれていたと言われています。しかし、同じ仲間が刑死したという知らせを受けた松之助は、文久3年（1863年）3月3日に切腹し、その墓は境内の墓地にあります。1916年（大正5年）には彼の追悼のために石碑が建てられ今に至ります。

アクセス

上行寺へは、JR鎌倉駅の東口から歩いて約12分でアクセス可能です。鎌倉の歴史を感じる場所として、訪れる人にとって心安らぐひとときを提供してくれる寺院です。

参考文献

• - 『鎌倉の寺社122を歩く』 PHP研究所、2013年
• - 『鎌倉古社寺辞典』 吉川弘文館、2011年
• - 『鎌倉の寺 小辞典』 かまくら春秋社、2001年
• - 『かまくら子ども風土記』 鎌倉市教育委員会、2009年
• - 『鎌倉観光文化検定 公式ガイドブック』 鎌倉商工会議所、2011年
• - 『鎌倉史跡事典』新人物往来社、奥富忠之

上行寺は、霊的な場所であり、歴史的な背景を持つ建築物や文化が豊かに受け継がれています。訪れる際には、その歴史や文化を感じながら、静かなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

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