上野点字図書館

上野点字図書館について

上野点字図書館（うえのてんじとしょかん）は、三重県伊賀市に位置し、視覚障碍者向けに特化した私立の点字図書館です。この図書館は社会福祉法人伊賀市社会事業協会に運営されており、三重県内には津市の三重県視覚障害者支援センターとともに、2つだけの点字図書館の1つという貴重な存在です。

提供するサービス

上野点字図書館では、視覚障碍者に対して点字図書と録音図書の貸し出しを行っていますが、それだけでなく一般市民への点字や視覚障碍に対する啓発活動も行っています。具体的には、点訳や音訳のボランティア養成を行い、また地方公共団体からのリクエストに応じて選挙候補者名簿の点訳も手がけています。これによって、地域社会全体で視覚障碍者支援の意識を育む役割を果たしています。

歴史

1960年4月、当初は上野市盲人ホーム図書室として設立され、1971年には日本政府から正式に点字図書館として認可され、現在の名称に変更されました。その際、所蔵されていた点字図書は2,207冊、録音図書は319巻でありました。以降、ボランティアの協力を得て、年間約40点のペースで新たな蔵書が追加されています。ボランティア養成講座は1982年から開始され、地域の人々が点訳・音訳に参加できる機会が提供されてきました。

この図書館では、視覚障碍に関する教育も行われ、2009年にはルイ・ブライユの誕生200年を祝う点字の世界展を開催しました。2011年には開館40周年を記念する式典を挙行し、長い歴史の中で多くの地域住民に愛され続けています。

利用方法

上野点字図書館はインターネット図書館「サピエ図書館」にも参加しており、利用者は所蔵資料をオンラインでダウンロードしたり、日本全国の他の図書館と資料の相互貸借をすることが可能です。開館時間は9時から17時までで、定休日は日曜日や祝日、年末年始、夏期の休日です。

所蔵資料情報（2018年3月31日現在）

• - 点字図書：4,940タイトル15,582冊
• - 録音図書：10,964タイトル22,878巻

点字が読める視覚障碍者は約1割とされますが、近年は高齢化や後天的な視覚障碍者の増加により、点字図書よりも録音図書の需要が高まりつつあります。2018年4月時点での貸出登録者数は168人となっており、伊賀市内からの利用者は54人、県外からも39人が登録しています。学習障碍や発達障碍を持つ方々も利用に訪れています。

ボランティア活動

上野点字図書館では、点訳と音訳のボランティア養成講座を毎年交互に開催し、地元の人々が積極的に参加することが奨励されています。1982年から続くこの制度の中で、過去には多くのボランティアが育成されています。新たに講習会を受講したボランティアは、図書館での資料点訳や音訳に積極的に関わっています。これにより、点訳書の制作にはおおよそ3か月から1年の時間がかかり、音訳書についても同様に時間を要することがわかります。

地域社会への啓発活動

点字の普及を目指して、上野点字図書館は様々な啓発活動にも取り組んでいます。例えば、点字の世界展を通じて一般市民に点字の重要性をアピールし、「一日点字教室」では参加者が点字を学び、自己名を点字で表す体験ができるようになっています。また、点字教室の講師派遣や点字器の貸し出しなども行なっており、小中学生に対しても教育的な支援を提供しています。

このように、上野点字図書館は単なる書籍貸し出しにとどまらず、地域の視覚障碍者への支援や啓発活動を通じて、理解と共生の社会に寄与しています。

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