上駒駅

上駒駅（かみこまえき）

上駒駅は、北海道の北部、宗谷地方に属する枝幸郡中頓別町に位置していた、北海道旅客鉄道（JR北海道）天北線の廃駅です。広大な原野の中にひっそりとたたずんでいたこの駅は、路線の廃止に伴いその短い歴史に幕を閉じました。

天北線が廃止されたのは、平成元年（1989年）5月1日のこと。上駒駅も、その最終日まで役割を担い、多くの特定地方交通線と同様に姿を消しました。

歴史

上駒駅の起源は、昭和30年（1955年）12月2日に開設された日本国有鉄道（国鉄）北見線（後の天北線）の上駒仮乗降場に遡ります。正式な駅ではなく、利用者の便宜を図るための仮設の乗り場として設けられました。

仮乗降場として長らく営業を続けていましたが、国鉄の分割民営化という大きな節目を迎えます。昭和62年（1987年）4月1日、JR北海道が発足すると同時に、上駒仮乗降場は正式な旅客駅である「上駒駅」へと昇格を果たしました。しかし、その駅としての期間はわずか2年余り。

平成元年（1989年）5月1日、特定地方交通線に指定されていた天北線が全線廃止されたことに伴い、上駒駅も廃駅となりました。仮乗降場時代を含めると30年以上の歴史を持ちますが、駅として存在したのは民営化後わずかであった、波乱の歴史を辿った駅でした。

駅構造

廃止される直前の昭和62年（1987年）時点では、上駒駅は単式ホーム1面1線を持つ地上駅でした。線路の片側にひとつだけホームが設けられているシンプルな構造です。

仮乗降場を前身とする駅らしく、駅員は配置されない無人駅として運営されていました。駅舎などの詳細な構造については、資料が限られていますが、利用者の少ない簡易な施設であったことが推測されます。

駅名の由来

駅の名称は、所在地である「上駒」という地名から付けられました。この地名は、アイヌ語に由来する地理的特徴に基づいています。

語源とされるのはアイヌ語の「シュルク=オマ=ナイ」。これは「トリカブトのある川」という意味です。この川はシリコマナイ川として知られ、その流域には知駒内（しりこまない）という集落がありました。上駒駅周辺は、この知駒内集落への入口に当たる場所だったと言われています。

また、地名の変遷も影響しています。昭和13年（1938年）4月に字名が改正される以前は、この一帯は頓別川の上流地域であること、そして知駒内原野を含んでいることから、単に「上」と呼ばれていました。この「上」という呼び名に、シリコマナイ川の「駒」が加わり、改正後に「上駒」という地名が成立し、それが駅名となった経緯があります。

駅周辺

上駒駅の周辺は、人の手があまり入っていない広大な原野が広がっています。利用者が少ない特定地方交通線の駅らしい、ひっそりとした環境でした。

近隣には、国道275号線（頓別国道）が通っており、地域の交通の要衝となっています。また、地域の信仰を集める知駒神社や、地名の由来とも関連する頓別川が流れています。

駅の廃止後も、代替交通機関として宗谷バスの天北宗谷岬線が運行されており、「上駒」停留所が設置されています。

駅跡

駅が廃止されてから時が経ち、その痕跡はほとんど失われています。

平成23年（2011年）に現地を訪れた時点では、駅のホームや線路といった鉄道施設に関する遺構は何も確認できませんでした。かつて駅があった場所は、再び原野の一部と化しているようです。現在、駅があった場所の近くに残されているのは、宗谷バスの「上駒」停留所のみとなっています。

隣の駅

北海道旅客鉄道（JR北海道）天北線

松音知駅 - 上駒駅 - 中頓別駅

関連項目

日本の鉄道駅一覧
特定地方交通線

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