下白滝信号場

下白滝信号場：歴史と変遷をたどる北海道の信号場

北海道紋別郡遠軽町に位置する下白滝信号場は、北海道旅客鉄道（JR北海道）石北本線に属する信号場です。かつては駅として賑わいを見せていましたが、時代の流れとともにその役割を変え、現在に至ります。本稿では、下白滝信号場の歴史、構造、利用状況、周辺環境、そして興味深いエピソードなどについて詳細に解説します。

開業から旅客営業廃止まで

下白滝駅は、1929年（昭和4年）8月12日、石北東線（後の石北本線）の丸瀬布駅～白滝駅間の開業に伴い設置されました。当初は一般駅として旅客や貨物の取扱いを開始、地域住民の生活を支える重要な拠点として機能していました。1932年（昭和7年）には線路名称の変更により石北線に、1961年（昭和36年）には石北本線に改称されました。

その後、1974年（昭和49年）に貨物取扱いを、1983年（昭和58年）には荷物取扱いを廃止。CTC（コンピュータ制御による列車運行システム）の導入により無人駅となりました。しかし、時代の変化とともに利用客は減少の一途を辿り、2015年（平成27年）7月、JR北海道から遠軽町に駅廃止の方針が通達されました。そして、2016年（平成28年）3月26日、長きに渡る歴史に幕を閉じ、旅客営業を廃止。下白滝信号場として新たな歩みを始めました。

廃止直前には、利用客が自由にメッセージを書き込める「駅ノート」が盗難された可能性も指摘され、地元住民による施設の見回りなどが行われていたというエピソードも残されています。

信号場としての構造と周辺環境

下白滝信号場は、2線を有する単線行き違い型の信号場です。旧2番線には両方向に出発信号機が設置されており、下り列車同士の列車交換も可能となっています。駅として営業していた頃は、千鳥状に完全にずれた相対式ホーム2面2線の地上駅で、遠軽駅からの管理のもと無人駅として運営されていました。ホーム間は構内踏切で連絡していました。

周辺環境は、民家が少なく自然豊かな地域です。国道333号や湧別川、そして村名発祥の滝といった自然景観も近くにあります。

1947年の列車脱線事故

1947年（昭和22年）8月18日未明、下白滝駅付近で上り貨物列車が火災事故に遭いました。機関車から出た火の粉が、積み荷のミブヨモギ（回虫駆除剤「サントニン」の原料）に引火。消火後、留置線で解放した際に下り勾配を逸走、丸瀬布駅を通過し、丸瀬布駅～瀬戸瀬駅間で後部7両が脱線するという大惨事となりました。残りの車両は、ブレーキホースが切れたことで瀬戸瀬駅付近の鉄橋で停止。この事故は、下白滝駅の、そして石北本線の歴史においても大きな出来事となりました。

利用状況と今後の展望

下白滝駅の利用状況は、年々減少傾向にありました。正確な乗車人員データは公開されていませんが、廃止に至るまでの減少傾向は明らかです。

現在、下白滝信号場は、石北本線の運行を支える重要な役割を担っています。かつての賑わいはないものの、地域の歴史を語る重要な存在として、その静かな佇まいは、過ぎ去った時を物語っているかのようです。

隣の駅

下白滝信号場の隣接駅は、白滝駅と丸瀬布駅です。白滝駅は廃駅となっています。

まとめ

下白滝信号場は、その歴史の中で様々な変化を経験してきました。駅として栄えた時代、そして信号場として新たな役割を担う現在。その変遷は、日本の地方鉄道の現状と、時代の流れを反映していると言えるでしょう。これからも、静かに、そしてしっかりと、石北本線の運行を見守り続けることでしょう。

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