下館城

下館城

茨城県筑西市甲（現在の本城町周辺）にかつて存在した下館城は、筑西市指定文化財（史跡）に指定されている城郭跡です。

歴史と変遷

この地に城郭が築かれた始まりについては、天慶年間（938年 - 948年）に藤原秀郷が平将門の追討のために築いたとされる三館（上館、中館、下館）の一つ、下館に当たるとの古くからの伝承があります。

近世城郭としての歴史は、文明10年（1478年）に始まります。この年、水谷伊勢守勝氏が結城氏広から下館の地を与えられ、新たな城を築いたことが、明治維新まで存続した城郭の基礎となりました。以後、下館城は水谷氏の拠点として機能しました。戦国時代には、水谷正村（蟠龍斎）が宇都宮氏への備えとして、天文14年（1545年）に下館城の北方に支城である久下田城を築くなど、水谷氏は勢力を拡大します。天正18年（1590年）、水谷勝俊は豊臣秀吉から下館領に加え下野芳賀郡を加えた合計4万7,000石の所領を安堵され、水谷氏による支配は続きました。

しかし、江戸時代初期の寛永16年（1639年）、水谷勝隆は備中国成羽藩へ転封となります。代わって松平頼重が5万石で入封しましたが、わずか3年後の寛永19年（1642年）には讃岐国高松藩へ移封されました。この後、下館は一時的に幕府直轄領（天領）となりますが、寛文3年（1663年）に増山正弥が入封するなど、城主が頻繁に入れ替わる時代を迎えます。増山氏の後は、井上正岑、黒田直邦らが短期間に下館を治めました。

享保17年（1732年）、伊勢国神戸藩より石川総茂が2万石で入封しました。これ以降、石川氏が下館藩主として定着し、9代にわたる長期にわたる治世が続きました。幕末に至り、最後の藩主石川総管の代に明治維新を迎え、明治2年（1869年）に下館藩は版籍奉還を行いました。これに伴い、下館城もその役目を終え、廃城となりました。

城の構造

下館城は、東側を流れる勤行川に臨む台地上に築かれました。その構造は、堅固さを誇る三重の濠を巡らせていたと伝えられています。この特徴的な縄張りから、別名として「螺城（らしろ）」または「法螺貝城（ほらがいじょう）」とも称されました。

現在の様子

下館城の城域であった場所は、明治の廃城後に市街地として開発が進みました。現在、城跡の主要部は筑西市立下館小学校や宅地などに利用されており、築城当時の明確な遺構を目にすることは困難です。

しかしながら、かつての本丸跡には八幡神社が残っており、城の存在を今に伝えています。また、下館小学校と八幡神社の間には、かつての堀の一部が道路としてその形状を残しています。さらに、この地域の通称町名が「本城町（もとしろちょう）」であることも、城の記憶が人々の暮らしの中に根付いている証と言えるでしょう。目に見える遺構はわずかですが、地形や地名にその歴史の痕跡をたどることができます。

（参考文献：現地説明板、関連書籍など）

関連情報

久下田城（下館城の支城とされた）
日本の城一覧
* 茨城県の城

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