且末国

且末国の概要

且末国（しょまつこく）は、西域三十六国の中の一つで、現在の中国新疆ウイグル自治区にあたるチャルチャン県、すなわち且末県に位置しています。この国はその地理的条件や歴史的背景から、重要な役割を果たしていました。且末という名称は、後に「末国」とも称されるようになりました。

地理的立地と交通

且末の王城は「且末城」にあり、古代の主要道を経由する長安からの距離は6,820里でした。交通の要所としての役割を果たし、南は小宛、北は尉犁、そして西には精絶と接しています。それぞれの地点までの距離は、北西に位置する都護府「烏塁」までが2,258里、南の小宛までは三日間の旅、北の尉犁まで約2,000里の距離があるなど、商業や文化交流において重要な経路となっていました。

また、且末では豊かな農業が営まれており、特にブドウをはじめとする多様な果物の生産地としても知られていました。これらの農産物は、交易によって幅広い範囲に広まり、且末国の経済の基盤を形成していました。

人口と軍事構成

当時の人口は230戸、そして総人口1,610人のうち、戦闘可能な兵士は320人に達していました。これは、且末国の防衛力として非常に重要であり、国の安全を確保するための大きな力となっていました。

行政の構造

且末国の行政は、輔国侯1名、左将1名、右将1名、そして訳長（通訳の長）1名が配置されており、相応の国政が運営されていました。前漢の時代には、西域都護府及び西域長史の管轄下にあり、当時の行政管理が行われていました。このような体系は、南北朝時代の南朝梁においても明確に記録されており、且末国は「末国」と呼ばれるようになった時期がありました。

歴史的変遷

且末国の都は現在の新疆ウイグル自治区チャルチャン県南西部の且末城にありましたが、その後、吐谷渾により併合されることとなります。隋朝の際には「且末郡」が設置され、更には唐朝の沙州、吐蕃、于闐、回鶻、西遼、そしてモンゴルのチャガタイ・ハン国を経て、最終的には清朝に至り、現在の新疆ウイグル自治区へと歴史が続いています。これらの歴史的な経緯は、地域の文化や民族に多大な影響を与えたと言えるでしょう。

参考文献

この内容は『漢書』の西域伝に基づいています。且末国は歴史的に重要な役割を果たし、多様な文化や民族が交じり合った地域として、今もなお研究の対象となっています。

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