世宗大王級駆逐艦

世宗大王級駆逐艦について

世宗大王級駆逐艦（セジョンデワンきゅうくちくかん）は、韓国海軍における重要なミサイル駆逐艦の一群であり、国際的にはKDX-IIIとして知られています。この艦級は、イージスシステムを搭載しており、韓国はアメリカ、 日本、スペイン、ノルウェーに次いで、世界で5番目のイージス艦保有国となりました。

来歴

韓国海軍は、1970年代にフレッチャー級駆逐艦を導入し、艦隊の運用を始めました。1980年代には、FRAM改修型のアレン・M・サムナー級やギアリング級を採用し、洋上の作戦能力を強化していきました।同時に、朴正煕政権が発表した「自己完結型の国防力整備」を銘打った8ヶ年計画により、国産の戦闘艦の開発が進められました。

その結果、KDX-I型（広開土大王級）の建造が始まりましたが、予定よりも少ない3隻に留まりました。その後、KDX-II型（李舜臣級）が建造され、2003年から2008年にかけて6隻が就役しました。これにより、韓国はさらに進化した防空艦の取得を目指し、1996年からの設計と開発を経て、2001年には詳細設計がスタートしました。

最終的に2002年になり、艦に搭載されるべき武器システムとしてアメリカのイージス武器システム（AWS）が選定され、この世宗大王級の建造に至りました。

設計

世宗大王級は、これまでのKDX-I及びKDX-IIとは異なる設計思想を採用し、アメリカ海軍のアーレイ・バーク級フライトIIAを基本にしています。しかし、国産VLS（垂直発射システム）を搭載することで、設計には様々な変更が加わりました。具体的には、全長が9.7メートル、幅が1.1メートル大きくなり、排水量にも大きな差が生じています。

特に艦首から艦橋にかけての甲板は独自のブルワークが施されており、流体力学的にも特徴的な形状を持っています。また、主機においては、アーレイ・バーク級と同様のCOGAG方式を採用し、ゼネラル・エレクトリック製のガスタービンエンジンを用いています。

装備

世宗大王級は、戦闘システムの中核となるイージス武器システム（AWS）を装備しています。艦同士は、バッチ1とバッチ2の異なる技術レベルで区別され、最新のレーダーや探知システム、対潜戦システムを搭載しています。

C4ISTAR能力は、戦場での情報収集、指揮、通信に生かされ、AN/SPY-1|AN_SPY-1D(V)レーダーやDSQS-21BZ-M探信儀が主要な役割を果たします。さらに、対潜戦能力や電子戦能力を高めるための各種の装置も搭載されています。

武器システム

この艦の武器システムは非常に多様で、艦対空ミサイル発射用のMk.41 VLSを艦首と艦尾に装備し、各種のミサイルを搭載可能です。また、国産の艦対艦ミサイルや艦対地ミサイルの発射装置も備えており、多種多様な戦闘任務に対応できるようになっています。艦砲やCIWS（近接防空システム）も充実しており、短距離用の対潜兵器としても優れた性能を持っています。

運用史

世宗大王級の1番艦は、現代重工業によって2004年に発注され、2008年には実戦配備が開始されました。艦名は世宗大王に由来し、韓国海軍のシンボル的な存在となりました。以降、KDX-IIIバッチIIとしてさらなる艦の建造が進められ、現在も韓国海軍の戦力の中核を担っています。

当艦級は技術革新を重視した設計と、多様な武器システムを持ち、韓国海軍の洋上戦闘能力を飛躍的に向上させる役割を果たしています。

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