世田米城

世田米城（せたまいじょう）

世田米城は、現在の岩手県気仙郡住田町世田米字火石に位置していた戦国時代の日本の城です。遠野街道の要所を扼する山城として、その役割を果たしました。

概要

城跡は、南北200メートル、東西100メートル、比高50メートルの小山全体が城郭となっています。この地は、遠野街道を監視する重要な地点でした。

歴史

室町時代初期、当時の領主であった葛西晴信が、隣国である遠野領からの侵入に備え、阿曽沼氏をこの地に配置したのが始まりとされています。世田米城は古くから気仙二十七城の一つに数えられていました。

戦国時代末期には、葛西氏の家臣であり、遠野阿曽沼氏の一族である阿曽沼甲斐守信康が城主を務めていました。しかし、天正18年（1590年）の豊臣秀吉による奥州仕置の結果、葛西氏の領地は没収され、この地は伊達氏の領有となりました。世田米城は、伊達領の最北端に位置し、南部氏の侵入を防ぐ上で重要な役割を担っていました。

一方、遠野の阿曽沼広長もこの際に領地を没収され、南部氏の家臣となりました。しかし、広長は伊達氏に臣従した世田米阿曽沼氏から正妻を迎えていたという縁がありました。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いの際、阿曽沼一族の内紛により遠野の横田城が奪われると、広長は阿曽沼信康を頼り、世田米城に逃れました。

広長は、伊達政宗の後援を受け、慶長6年（1601年）12月には世田米阿曽沼氏らとともに気仙の兵力を借りて遠野奪還を試みましたが、失敗に終わりました。これにより、阿曽沼氏は名実ともに遠野領主としての地位を失うこととなりました。

近年の調査

2016年（平成28年）4月8日から7月31日にかけて、国道340号の拡幅工事に伴い、発掘調査が実施されました。この調査では、腰曲輪などの15箇所の平場や2条の犬走りなどが確認されています。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 3 岩手県』角川書店、1985年3月8日。ISBN 4-04-001030-2。
児玉幸多、坪井清足『日本城郭大系 第2巻 青森・岩手・秋田』新人物往来社、1980年7月15日。
公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センター 2018『岩手県文化振興事業団埋蔵文化財調査報告書678：世田米城跡発掘調査報告書』岩手県沿岸広域振興局土木部大船渡土木センター他

関連項目

日本の城一覧

外部リンク

「世田米城跡 現地説明会レポート」公益財団法人 岩手県文化振興事業団 埋蔵文化財センター公式HP
「世田米城跡」公益財団法人 岩手県文化振興事業団 埋蔵文化財センター公式HP

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