世界アマチュア囲碁選手権戦

世界アマチュア囲碁選手権戦

世界アマチュア囲碁選手権戦は、世界各国のアマチュア囲碁棋士の頂点を決める権威ある大会です。1979年に始まり、原則として毎年開催されています（ただし、2003年と2020年は感染症の影響で中止）。プロ棋士も参加可能な世界選手権に先駆けて創設され、アマチュア囲碁界における最高峰の大会として位置づけられています。

主催は、開催地によって日本棋院、中国囲棋協会、韓国棋院などが担当します。国際囲碁連盟（IGF）が主管し、日本では外務省や国際交流基金が後援、関西棋院が協力しています。

大会の方式

初期の大会（第4回まで）はトーナメント方式で行われていましたが、第5回からはスイス式トーナメント方式が採用され、第41回ではマクマホン式トーナメントが用いられました。これらの方式により、参加者全員の順位が決定されます。

また、大会ではフェアプレー精神や敢闘精神を称えるため、審判団によって朝田ファイティング・スピリット賞が選ばれます。その他、特別賞や激励賞も設けられています。大会前日には、参加者と院生との親善対局や、プロ棋士に連碁で挑むイベントなどが開催され、交流を深める機会となっています。

大会の歴史

第1回大会には15ヶ国が参加しましたが、2000年以降参加国が増加し、2024年の第44回大会では60ヶ国が参加するまでに成長しました。参加者の年齢層も幅広く、10代から60代までの棋士が腕を競い、参加者のレベルも年々向上しています。

草創期

第1回大会では、聶衛平をはじめとする中国勢が上位を独占しました。当時、中国にはプロ棋士制度がなかったため、国内トップレベルの選手が出場していました。日本からは、安永一、鳴海直、菊池康郎、村上文祥、今村文明、亀倉芳子の6名が参加し、村上が4位に入賞しました。

1982年に中国でプロ棋士制度が開始されて以降は、大会は純粋なアマチュア大会へと移行しました。坂井秀至や陳嘉鋭など、後にプロ棋士となる選手も、アマチュア時代に本大会で優勝しています。

1998年の第20回大会では、歴代チャンピオン戦が開催され、劉鈞が優勝、今村文明が準優勝となりました。

イベント・交流

毎年、トーナメントの他にも様々な交流企画が実施されています。2000年の第22回大会は、「仙台市開府400年記念・第22回世界アマチュア囲碁選手権戦&国際交流囲碁フェスティバル」として、国際交流囲碁フェスティバル協議会が主催し、仙台市が後援に加わって開催されました。2001年の第23回大会は、日向蛤碁石まつりと同時に開催されました。2005年の第26回大会は名古屋市で開催され、65ヶ国・地域の選手が参加し、愛知万博の会場で地元のアマチュア棋士との交流対局が行われました。

2008年の第29回大会には68ヶ国・地域の選手が参加しました。2009年の第30回大会は静岡県エコパアリーナで開催され、「囲碁による教育・福祉・生きがいまちづくりシンポジウム」も同時開催されました。2011年には、『天地明察』の作者である冲方丁による文化講演会が行われ、ポーランド代表のカミル・チュエドナ選手に武宮正樹審判長から武宮特別賞が贈られました。

2010年の第31回大会では、ドーピング検査が実施されました。

海外開催

日本以外での開催は、1987年の第9回大会が中国で初めて開催されました。その後、2014年の第35回大会は韓国、2015年の第36回大会はタイ（タイ囲碁協会主催）、2021年の第41回大会はロシア（ロシア囲碁連盟主催）でそれぞれ初めて開催されました。2022年はオンライン開催となり、中国囲棋協会主催で野狐囲碁により行われました。

歴代の成績

第41回大会までの優勝者の国籍は、中国が23回、日本が8回、韓国が7回、中華台北（台湾）が2回、香港が1回となっています。1985年には台湾が、1991年には北朝鮮とシンガポールが参加しました。第41回大会までに、東アジア以外の選手が優勝・準優勝したことはありません。しかし、ベスト4には、アメリカ、オランダ、ウクライナ、フランス、ルクセンブルク、チェコ、ポーランド、ロシア、アルゼンチン、ルーマニア、オーストラリアの選手が入賞しています。

2019年からは、囲碁アマチュア竜星戦が日本代表決定戦となっています。

記録

最年少優勝：13歳 常昊（第12回）、単子騰（第28回）
最多優勝：4回 白宝祥

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