常昊

常昊（じょう こう）

常昊（チャン・ハオ、1976年11月7日 - ）は、中国の上海出身の囲碁棋士であり、中国囲棋協会に所属する九段です。その卓越した棋力で、中国囲棋天元戦5連覇をはじめとする数多くの棋戦で優勝を飾り、世界戦である応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦でも優勝を果たしました。聶衛平、馬暁春に次ぐ「七小龍」の一人として、中国囲碁界を牽引する存在です。愛称は「鴨子（アヒル）」で、現在は中国囲棋協会の副主席を務めています。夫人は同じく囲碁棋士の張璇八段です。

経歴

6歳で囲碁を覚え、8歳で上海選抜チームである「上海棋社」に入りました。1986年にプロ棋士としての第一歩を踏み出し、同年の全国少年大会で優勝。1987年には、10歳という若さで国家少年囲棋隊に選抜され、北京へと拠点を移します。1988年には、パリで開催された世界青少年囲碁選手権大会で優勝。1990年には、世界アマチュア囲碁選手権戦において、13歳という最年少記録で全勝優勝を果たしました。

1992年には、中国囲碁界のトップ棋士が集う名人リーグ入りを果たします。同年の日中囲碁交流では中国代表団の一員として来日し、5勝2敗という成績を収めました。1994年には大国手戦の挑戦者となりますが、馬暁春に敗退。同年、聶衛平の門下生となります。1995年には全国囲棋個人戦で優勝し、その後、天元戦や楽百氏杯などで5連覇を達成するなど、中国国内のタイトル戦で目覚ましい活躍を見せ、馬暁春に代わる国内囲碁界の第一人者となりました。1997年から1999年前半、そして2001年には、中国棋士ランキングで1位を維持し続けました。1999年に九段に昇段。同年、張璇と結婚しました。

日中スーパー囲碁では、1995年に5人抜き、1996年には6人抜きという驚異的な記録を打ち立て、中国の勝利に大きく貢献しました。世界棋戦では、1998年の世界囲碁選手権富士通杯での準優勝を皮切りに、その後も準優勝を重ねましたが、終盤のヨセで苦戦することが多かったため、依田紀基のアドバイスを受け、安井知得仙知の碁を研究。その成果が実り、2005年には念願の応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦で世界戦初優勝を果たしました。中国甲級リーグ戦では、上海チームに所属し、2003年からは主将としてチームを牽引。2004年、2005年、2007年の優勝に大きく貢献し、2007年には20勝2敗という素晴らしい成績を収めました。2006年の江原ランド杯中韓囲碁対抗戦では、副主将として4人抜きを達成し、中国を勝利に導きました。2008年の農心辛ラーメン杯でも副主将として4人抜きを演じ、中国チームを初の優勝に導きました。

2008年のワールドマインドスポーツゲームズ、2010年のアジア競技大会では、いずれも男子団体戦で銀メダルを獲得しました。2005年の南方長城杯世界囲棋嶺鋒対決では、李昌鎬との対局で4コウ無勝負という珍しい結果となりました。2016年にはMlily夢百合杯世界囲碁オープン戦でベスト16に進出。2017年12月には、中国囲棋協会の副主席に就任しました。

タイトル歴

国際棋戦

応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦 (2005年)
三星火災杯世界オープン戦 (2007年)
春蘭杯世界囲碁選手権戦 (2009年)
日中天元戦 (1997, 1998, 1999, 2001)
中韓天元対抗戦 (2001)
厦門金園杯両岸囲棋高峰戦 (2012年)
明月山杯中日韓囲碁精鋭戦 (2014年、2016年)

国内棋戦

棋童杯囲棋戦 (1986-88年、3連覇)
神童杯囲棋招待戦 (1986-87年)
全国囲棋個人戦 (1995年)
新人王戦 (1996年)
中国囲棋天元戦 (1997-2001年、5連覇)
大富豪酒業杯中国囲棋精英戦 (1997年)
NEC杯囲棋賽 (1998年, 2002年, 2005年)
楽百氏杯囲棋戦 (1998-2002年、5連覇)
古田杯囲棋四強招待戦 (1998年)
棋聖戦 (1999年)
CCTV杯中国囲棋電視快棋戦 (1999年)
リコー杯囲棋戦 (2000年, 2004年)
永達杯王中王戦 (2002年)
仙女湖杯中国囲棋名人招待戦 (2002年)
竜泉杯中国囲棋八強戦 (2003年)
天竜杯竜虎争覇戦 (2005年)
生活家杯中国囲棋争覇戦 (2009年)

代表局

「世界戦初優勝」第5回応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦 決勝五番勝負第2局 崔哲瀚-常昊
第1局で崔哲瀚が先勝した後、第2局で常昊が先番。序盤から激しい攻防が繰り広げられ、右下からの戦いが左辺に及んだところで、黒1（117手目）、5、9の頭ツケ3連発がハイライト。ここからコウ絡みで右辺一帯の白の大石をもぎ取り、179手まで黒中押勝。続いて連勝し、3-1で世界戦初優勝を飾った。
2004年12月28日 崔哲瀚-常昊（先番）

参考文献

『囲碁年鑑』日本棋院 2005年
* 『囲棋年鑑』中国囲棋協会

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