両備鉄道11号形電気機関車

両備鉄道11号形電気機関車

両備鉄道11号形電気機関車は、1927年（昭和2年）に両備鉄道（現在のJR福塩線の一部）が新製した、軌間762mmの特殊狭軌規格の直流用電気機関車です。両備鉄道の電化に合わせて日立製作所で6両が製造されました。

概要

この機関車は、凸形の車体を持つ小型電気機関車で、11から16の番号が付けられました。台車はアーチバー式の2軸ボギー台車を2組備え、集電装置としてポールを2組搭載しています。連結器はピン・リンク式を採用していました。両備鉄道では、この機関車によって既存の客車や貨車を牽引する運行形態を採り、電車を導入することはありませんでした。

1930年（昭和5年）には、昭和天皇の行幸に際し、お召列車を牽引するという栄誉も担っています。これは、沿線で行われた陸軍大演習の視察を目的としたものでした。

1933年（昭和8年）に両備鉄道は国有化され、福塩線（後に福塩南線）となりました。これに伴い、電気機関車11から16号は国鉄に引き継がれ、ケED10形ケED10 1からケED10 6となりました。「ケ」は軽便鉄道規格の車両であることを示す記号です。しかし、国有化後、改軌直前の写真には、国鉄の形式名ではなく、旧両備鉄道時代の番号と社紋が残っていた例があり、実際に国鉄形式への変更が完了していたかどうかは不明です。

1935年（昭和10年）には、福塩南線の福山 - 府中町間が1,067mmの狭軌に改軌され、この機関車は役目を終えました。国鉄には他に電化された762mm軌間の路線がなかったため、転用されることなく廃車されました。廃車後の処遇（私鉄への譲渡など）については、詳細はわかっていません。

特徴

特殊狭軌規格: 軌間762mmという特殊な規格で、国鉄では唯一の存在でした。
凸形車体: 小型で可愛らしい外観が特徴です。
アーチバー式台車: 2軸ボギー台車を2組備え、安定した走行を実現しました。
ポール集電: 2組のポールで集電していました。

脚注

この機関車は、国有鉄道に在籍した唯一の特殊狭軌線用電気機関車でした。

関連項目

国鉄の特殊狭軌線
* 皇室用客車#軽便用御料車

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