両國宏

両國 宏（りょうごく ひろし）

1971年6月6日生まれ、鹿児島県姶良郡横川町（現在の霧島市）出身の日本の俳優です。かつては井筒部屋に所属する大相撲力士として活躍し、現在は両國エンタープライズに籍を置き、株式会社Katanaと業務提携しています。

力士としての歩み

幼少期から水泳に取り組み、1983年には50m自由形で鹿児島県大会優勝を飾るなど運動能力の高さを見せていました。15歳となった1987年春場所、井筒部屋に入門し、念願の初土俵を踏みます。力士時代の四股名は、当初の本名である村田宏から始まり、その後「霧の若宏」と改名。この「霧の若」という名は、同郷で部屋の兄弟子にあたる大関霧島関（現在の陸奥親方）の若い頃に似ていることに由来すると言われています。

1994年秋場所からは「祥映斗宏務（しょうえいとひろし）」と名乗るようになります。この四股名には、『祥=勝』、『映斗=8』の意味が込められ、毎場所8勝以上（関取として勝ち越し）できるよう願いが託されていました。大相撲時代、最も番付が上がったのは1996年九州場所における東幕下三枚目で、当時の体重は111kgを記録。力士としての通算成績は74場所で255勝237敗19休という記録を残しています。特に1993年1月場所では三段目において全勝優勝を達成するなど、将来を期待される存在でした。しかし、度重なる稽古で首を痛めたことが原因となり、低迷期を経て1999年夏場所限りで土俵を去ることとなりました。祥映斗という四股名に込めた願いは叶わず、関取昇進を果たせぬまま志半ばでの引退でした。

新たな舞台、俳優へ

相撲界を引退後、両國氏は俳優へと転身し、新たなキャリアをスタートさせます。これまでにエス・プログレスやStone Valley株式会社といった事務所を経て、2004年には芸名を本名の村田宏から現在の「両國宏」へと変更しました。

俳優としては、テレビドラマ、映画、舞台、Vシネマなど、様々なメディアで精力的に活動しています。テレビドラマでは、人気シリーズ「ごくせん」に菅原誠役で繰り返し出演し、広くその顔を知られることとなりました。また、長寿番組「水戸黄門」にも第31部から最終回スペシャルまで、複数回にわたり異なる役柄で出演。NHKの大河ドラマでは「武蔵 MUSASHI」、「新選組！」、「龍馬伝」、「花燃ゆ」と、時代劇を中心に存在感を示しています。この他にも、「昔の男」、「プリティーガール」、「子連れ狼」、「東京タワー」、「ナンバMG5」など、現代劇から時代劇まで多岐にわたる作品に出演リストを連ねています。

映画においても、「ごくせん THE MOVIE」をはじめ、「カイジ」、「猿ロック THE MOVIE」といった話題作に出演。さらに、「ミナミの帝王」や「極道の妻たち」といったVシネマ色の強い作品にも登場し、その存在感を放っています。近年では「東京ノワール」や、人気シリーズの劇場版「劇場版 ACMA:GAME 最後の鍵」など、精力的に映画出演を続けています。

舞台活動も積極的に行っており、芸術座や帝国劇場、明治座といった歴史ある劇場での公演に参加。「初蕾」、「大吉夢家族」、「女たちの忠臣蔵」、「水戸黄門」、「大奥」など、名だたる作品に出演しています。近年では「舞台 サルまん」や「舞台 魁!!男塾」、「刃牙 THE GRAPPLER STAGE」など、人気漫画やアニメを原作とした舞台でも個性的な役柄を演じ、活動の幅を広げています。

この他、Vシネマ「日本統一」シリーズや「破門組」シリーズへの出演、さらにはナレーションやラジオドラマなど、俳優という枠を超えた幅広い活動を展開しています。バラエティ番組にも出演しており、大相撲汐留場所企画でチーム優勝した経験もあります。

多彩な一面

趣味や特技も非常に多彩です。アクション殺陣やバランスボール乗りといったユニークなものに加え、釣り、フットサル、バレーボール、水泳、筋トレ、SUPといったスポーツ・アクティビティを楽しみます。特にゴルフではベストスコア87を出すほどの腕前です。また、普通自動車、大型二輪、二級船舶といった様々な種類の免許も取得しており、アクティブな一面を覗かせています。

結び

元力士という異色の経歴を持ちながら、俳優として確かなキャリアを築いてきた両國宏氏。その力強い体格と存在感は、唯一無二の個性を放っています。これまでの経験を活かし、今後も様々な役柄で活躍していくことが期待されます。

もう一度検索