両國梶之助 (1907年生)

両國 梶之助：相撲界の名力士

両國梶之助（りょうごく かじのすけ）は、1907年に長崎県長崎市で生まれました。本名は太田勇雄（おおた いさお）で、出羽海部屋に所属しながら、その存在感を強烈に発揮した大相撲の力士です。最高位は西関脇であり、彼のキャリアは数々の記録と名勝負に彩られています。

幼少期から相撲への道

両國は、子供の頃からその怪力で知られ、地元では「怪力少年」と称されていました。小学校を卒業後は農業を手伝いながら、宮相撲などでその才能を発揮しました。特に1910年代後半に同い年の常盤野が相撲界入りしたことをきっかけに、彼も相撲の世界へと足を踏み入れることを決意しました。

大相撲入りとキャリアの出発

1927年、両國は上京して出羽海部屋に入門し、同年10月には本名の太田として初土俵を踏みました。その後、故郷にちなんで「瓊ノ浦」という四股名に改名。彼はここでの活躍を通じて、瞬く間に幕下上位へ昇進しました。しかし、春秋園事件が発生すると、出羽海部屋の多くの先輩力士が日本相撲協会を脱退。これが彼のキャリアに影響を与え、1932年の番付では東幕下3枚目という地位から、十両を飛び越えた形で幕内へ昇進することができました。

技と勝負のスタイル

両國は軽量ながらも筋肉質な体格を活かし、土俵上で軽快に動き回るスタイルを持っていました。彼は特に「うっちゃり」や「櫓投げ」といった多彩な技で高く評価されており、「曲者」や「業師」といった愛称で呼ばれることもありました。関脇に昇進した1938年1月場所では、名力士双葉山との対戦で名勝負を演じました。試合中に土俵際での一幕が話題となり、取り直しとなったものの、双葉山はその後連勝を79まで伸ばすことになりました。

引退とその後の人生

両國は1942年5月の場所での負け越しをきっかけに現役を引退し、その後は年寄「待乳山」を名乗りました。特異なことに、彼は一度も十両在位がなかったという珍しい記録を持っています。引退後は勝負検査役として活動しましたが、その姿勢が周囲から批判を浴びることもありました。1959年11月23日、彼は52歳でこの世を去りました。

成績と記録

両國の通算成績は195勝183敗6休、勝率は約.516。幕内成績は135勝155敗6休で、こちらの勝率は約.466でした。現役在位は42場所、幕内在位は24場所、三役には関脇と小結でそれぞれ1場所在位しました。また、彼は双葉山や男女ノ川をはじめとする有名力士から金星を挙げるという実績も残しています。

結論

両國梶之助の生涯は、大相撲界での努力と栄光、さらには困難を乗り越えた勇気の物語です。彼の残した技や記録は、相撲ファンの心に刻まれ、今でも語り継がれています。

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