櫓投げ

櫓投げ（やぐらなげ）

櫓投げは、相撲における日本相撲協会が定める決まり手八十二手の一つで、投げ技に分類されます。

概要

相手力士を抱え上げ、自らの膝で相手の内腿を跳ね上げるようにして投げる技です。投げられた相手が宙に浮き上がり、高く舞い上がる様子から、非常に豪快な決まり手として知られています。一般的に、体重の軽い力士に対して有効な技とされています。

歴史

大正後期から昭和初期にかけて活躍した横綱・常ノ花や、昭和20年代後半から30年代前半にかけて活躍した関脇・羽嶋山が得意としていました。しかし、非常に珍しい決まり手であるため、長らく幕内の取組では見られませんでした。

戦後では、1975年11月場所9日目に青葉山が福の花に決めて以降、2009年7月場所13日目に朝青龍が日馬富士を櫓投げで破るまで、34年間も幕内での決まり手として記録されませんでした。その後、2015年11月場所7日目には、白鵬が隠岐の海に対して櫓投げを決め、勝利を収めています。

2008年5月場所では、安馬（後の日馬富士）が若ノ鵬をうっちゃりで投げ飛ばした際、当時の北の湖理事長や初代若乃花、北の富士らが「櫓投げ」と評する場面もありました。

日本大相撲トーナメント・第三十六回大会3回戦第1試合では、白鵬が隆の山に櫓投げを決めましたが、場内アナウンスではなぜか「掴み投げ」と発表されました。この判定に対し、白鵬は不満を漏らしていたと伝えられています。しかし、2015年11月場所に隠岐の海に櫓投げを決めた際には、公式記録も櫓投げとして記録されました。

1972年3月場所11日目には、琴櫻が貴ノ花との対戦で、二本差しをされながらも櫓投げを打ち、勝利を収めました。しかし、その翌日の取組で、琴櫻は前の山に張り手で気絶させられ、一方的に下手投げで敗れたため、この一番が「無気力相撲」に該当すると指摘される事態となりました。折しも、大関陣の無気力相撲に対する批判が高まっていた時期であり、前日と当日で相撲内容があまりにも異なることが状況証拠となり、琴櫻と前の山の両者は印象を悪くしてしまいました。前の山は、12日目まで6勝6敗であったところ、13日目から師匠である高砂の判断により途中休場となり、この場所限りで大関の座を去ることとなりました。

決まり手が70手だった時代には、上手櫓と下手櫓で区別されていました。

柔道における櫓投げ

柔道でも櫓投げに類似した技が見られますが、正式な技名称としては存在しません。柔道の書籍では、1930年に柔道家の尾形源治が著した『柔道神髄』で紹介されています。移腰、フロント内股、帯取返などに分類されることがあります。

脚注

櫓投げ - 決まり手八十二手. 日本相撲協会公式ホームページ. 2025年2月16日閲覧。

関連項目

大相撲の決まり手一覧

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