中国宇宙ステーション

中国宇宙ステーション (CSS)

中国宇宙ステーション、またはCSS（Chinese Space Station）は、2021年から運用を開始した中華人民共和国の宇宙ステーションであり、天宮計画の一環として設計されています。このステーションは三つのモジュールで構成されており、総質量は約80トンとされています。また、天宮という名称でも広く知られています。

従来の天宮1号や天宮2号とは異なり、CSSは充実した宇宙基地として機能しており、ソビエト連邦のミール宇宙ステーションに匹敵する規模を誇っています。主な構成要素には、コアモジュールの「天和」、二つの実験モジュールである「問天」と「夢天」、無人補給船の「天舟」があります。これらのモジュールは長征5号B型ロケットを使用して打ち上げられました。

建設と完成

CSSの建設は2021年4月に始まり、2022年12月には完了しました。最初のモジュールである天和コアモジュールは2021年4月29日に打ち上げられ、その後、6月17日に神舟12号とドッキングし、CSSにおける初めての有人滞在が実現しました。次いで、2022年7月に問天モジュールが打ち上げられ、9月30日には天和に接続されました。最後に、夢天モジュールが2022年10月に打ち上げられ、11月2日に天和に接続され、これでCSSは完全な形となりました。

ステーションの目的

CSSの設立目的は多岐にわたります。主な目的としては、 • ランデブーやドッキング技術の進展 • 長期間の宇宙飛行と居住に関する研究 • 無人宇宙補給機による補給技術の向上 • 宇宙船性能の検証 • 中型・大型の軌道上宇宙実験の実施 などが挙げられます。また、2016年には国際連合宇宙局と中国国家航天局の間で、CSS利用機会を国際連合加盟国に開放する協定が結ばれ、これにより日本の東京大学を含む17か国の機関による科学実験も計画されています。

宇宙ステーションのモジュール構成

CSSのモジュールは、他国の宇宙ステーションと同様に、完全に組み立てられた状態で打ち上げられます。天和コアモジュールは、最大3人の宇宙飛行士が居住できる空間を備え、宇宙ステーション全体の制御機能を有しています。居住区には、生活に必要な設備が整えられており、電気系統や生命維持システムもこのモジュールに集中しています。問天モジュールは制御機能を持ちながら、複数の宇宙実験をサポートし、夢天には微小重力実験用の設備が搭載されています。 さらに、2023年には追加のモジュールが打ち上げられる計画も発表されています。

乗組員の生活環境

宇宙ステーション内はWi-Fi環境が整備され、乗組員は骨伝導ヘッドホンを使用してコミュニケーションを行います。船内での食事は120種類以上の中華料理や飲み物から選択でき、電子レンジやキッチンも完備されています。また、居住区には広々とした寝室やトイレ、シャワー、ジム設備があり、快適な生活空間が提供されています。

今後の展望

今後、CSSは宇宙望遠鏡「巡天」の打ち上げも予定されており、この探査機はハッブル宇宙望遠鏡を凌ぐ性能での観測を行うことが期待されています。 CSSは中国の宇宙開発だけでなく、国際的な宇宙探査への貢献も目指し、科学研究の場としての役割を担っています。

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