中国東方航空5210便墜落事故

中国東方航空5210便墜落事故

中国東方航空5210便墜落事故は、2004年11月21日に中華人民共和国で発生した悲惨な航空事故です。内モンゴル自治区の包頭空港を離陸した直後の中国東方航空5210便が、包頭市内の南海公園にある凍結した湖に墜落し、乗員乗客全員と地上の2名の計55名が亡くなりました。

事故の概要

事故機は、カナダのボンバルディア・エアロスペース社製のCRJ-200型リージョナルジェット機（機体記号: B-3072）でした。この機体は2002年に製造され、中国東方航空雲南公司が保有し、中国東方航空にリースされていました。事故当日、5210便は包頭から上海虹橋国際空港へ向かう国内便として運航されていました。

午前8時20分（現地時間）に包頭空港を離陸しましたが、そのわずか1分後、午前8時21分頃に空港から約2km離れた場所にある南海公園の湖に墜落しました。墜落直前のコックピットボイスレコーダーには、機長の「どういうことだ」という言葉が記録されており、事故発生時の異常な状況を物語っています。

事故により、乗員6名（運航乗務員3名、客室乗務員2名、航空保安員1名）と乗客47名、そして公園にいた2名の合計55名全員が死亡しました。また、墜落の影響で湖畔の家屋や公園の設備が損傷し、停泊していたヨットが焼失するなど、周辺にも大きな被害が出ました。

事故発生後、中国東方航空は同型機6機の運航を停止し、包頭発上海行きの便は欠航となりました。しかし、2005年1月1日からは、中国東方航空山西公司がボーイング737型機を投入し、運航を再開しました。

事故原因

目撃者の証言によると、事故機は低高度で不安定な飛行を始め、尾部から地面に接触した後、黒煙を上げて爆発炎上したとされています。この状況から、事故機が離陸上昇に失敗し、そのまま地上に接触した可能性が疑われました。

事故当日の天候は快晴でしたが、気温が氷点下であったため、当初は燃料の凍結が原因ではないかと考えられました。しかし、当局はテロの可能性を否定し、人為的な破壊を示す証拠はないと発表しました。

その後の調査により、事故原因は機体の不適切な管理によるものと結論付けられました。事故機は、前夜から強い寒さの中で包頭空港に駐機していましたが、運航開始前に防氷装置が作動されていませんでした。その結果、翼に朝霜が凍り付き、着氷した状態でした。この着氷が翼の空気力学的な性能を著しく低下させ、機体制御を失い、離陸上昇ができなかったことが、墜落に至った最大の原因とされています。

教訓と影響

この事故は、航空機の安全管理において、着氷への対策がいかに重要であるかを改めて示しました。事故後、航空各社は着氷対策を徹底し、より安全な運航体制を構築する努力を重ねています。また、事故の犠牲者への哀悼の意を表するとともに、二度とこのような悲劇が繰り返されないよう、航空安全に対する意識を常に高く持つことが重要であると再認識させられました。

関連情報

関連項目:
エア・フロリダ90便墜落事故
ミュンヘンの悲劇
オンタリオ航空1363便墜落事故
外部リンク:
東航小型旅客機包頭墜落事故 人民日報の関連報道集（中国語簡体字）
人民日報による事故の概略（中国語簡体字）
AirDisaster.Com Accident Database （英語）
Accident aircraft photos from airliners.net （英語）
aviation-safety.net （英語）

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