中央駅

中央駅とは

中央駅とは、都市における交通の中心となる旅客駅を指します。この駅は、長距離列車が発着するターミナル駅としての機能を持ち、都市間を結ぶ重要な役割を担っています。ドイツ語の「Hauptbahnhof（ハウプトバーンホーフ）」の訳語として用いられることが一般的です。しかし、「〇〇中央駅」という名称は、必ずしも交通の結節点であるとは限らず、単に都市や地域の中央に位置することを示す場合もあります。

機能上の中央駅

ヨーロッパの多くの都市では、ターミナル機能が一つの主要な中央駅に集中しています。これらの駅には、地下鉄、路面電車、バスターミナルなどが併設され、市内交通のハブとしての役割を果たしています。一方、パリやロンドンのように、方面別に複数の大規模なターミナル駅を持つ都市も存在します。これらのターミナル駅は、多くの場合、行き止まり式の頭端式ホームを備え、列車は終着駅として利用されています。また、パリのように、列車の行き先によって市内の駅が分散していることもあります。

ドイツ語では、このような駅を「Hauptbahnhof」と呼び、日本語では「中央駅」と訳されます。ドイツやオーストリアでは「Hbf」、スイスでは「HB」と略記されることがあります。ドイツ語圏や近隣のヨーロッパ諸国では、都市の中央駅に「都市名＋中央駅」という名称が付けられることが一般的です。例えば、ベルリン中央駅がその例です。しかし、他の国では、都市の中心駅であっても「都市名＋駅」というシンプルな名称が用いられることが多く、「中央駅」という特別な名称は付けられません。

駅名に「中央駅」と付いていなくても、市内交通においては「中央駅」と呼ばれることもあります。例えば、ストラスブール駅は、駅前のトラム停留所名が「中央駅」となっています。また、ボルドー＝サン＝ジャン駅のように、名称からは判断できないものの、実質上の中央駅として機能している駅も存在します。

名称としての中央駅

機能とは無関係に、都市や地域の中央部に位置する駅に「中央」という語を付けて「〇〇中央駅」と呼ぶことがあります。日本の「〇〇中央駅」の多くはこのケースに当てはまり、千葉市の千葉中央駅や佐世保市の佐世保中央駅のように、都市で最も主要な駅とは異なる駅に名付けられています。

国や言語によっては、「〇〇中央駅」という駅名が、交通網の中心であることを示すのか、単に都市の中心に近いことを示すのかで混乱が生じることがあります。オランダ語では、Centraal Stationという言葉が両方の意味で用いられていたため、近年では、交通網の中心としての機能が小さい駅を、名称の上からも区別するようになりました。例えば、アルメレの中心部にある駅は、「アルメレ中央駅」から「アルメレの中心部の駅」を意味する名前に改称されました。

ドイツ語の「Haupt-」は、「主要な」という意味で、地理的な「中央」を指すものではありません。そのため、ドイツ語ではこのような混乱は生じません。ドイツ語で地理的な中心を表す言葉は「Mitte（ミッテ）」であり、駅名では「〇〇 Mitte」のように用いられます。例えば、ウィーン中駅がその例です。ドレスデンにはドレスデン中央駅とドレスデン中駅の両方が存在します。

各国の中央駅

各国の中央駅や「〇〇中央駅」という名称の駅について、以下に主な例を挙げます。

ドイツ：115の中央駅があり、ベルリンには2006年のサッカーワールドカップ開催に合わせて中央駅が設けられました。メンヒェングラットバッハ市には、メンヒェングラットバッハ中央駅とライト中央駅という2つの「中央駅」があります。
カイザースラウテルン中央駅
ケルン中央駅
アーヘン中央駅
シュヴェリーン中央駅
ハノーファー中央駅
ハンブルク中央駅
ベルリン中央駅
マンハイム中央駅
コブレンツ中央駅
ライプツィヒ中央駅
ドレスデン中央駅
フランクフルト中央駅
ミュンヘン中央駅
デュースブルク中央駅
デュッセルドルフ中央駅
オーストリア：ウィーン、インスブルック、ザルツブルクなど12の都市に中央駅があります。
ウィーン中央駅
ヴィーナー・ノイシュタット中央駅
スイス：ベルン、チューリッヒなどに中央駅があります。
ベルン中央駅
チューリッヒ中央駅
オランダ：アムステルダム、ハーグ、ユトレヒト、ライデン、ロッテルダムの5都市に中央駅があります。ハーグにはハーグ中央駅とハーグHS駅の2つのターミナルがあります。
アムステルダム中央駅
ロッテルダム中央駅
ベルギー：ブリュッセル、アントウェルペン、ヴェルヴィエの3都市に中央駅があります。ブリュッセル中央駅は、中心部に近いですが、南駅や北駅に比べると駅としての重要性は劣ります。
アントウェルペン中央駅
ブリュッセル中央駅
チェコ：プラハなど21の都市に本駅があります。
プラハ本駅
ポーランド：
ワルシャワ中央駅
クラクフ中央駅
スウェーデン：ストックホルムなどに中央駅があります。
ヨーテボリ中央駅
マルメ中央駅
日本：都市の中心となる駅に特別な名称を付ける習慣はなく、通常は都市の名前がそのまま使われます。例として東京駅があります。「〇〇中央」「〇〇センター」という駅名は、主要な駅より都市の中心に近いことを強調する場合や、ニュータウンなどの地区の中心を示す場合に使われる傾向があります。鹿児島中央駅のように、主要駅とは異なる名前を付けるケースもあります。
高井田中央駅は、中央大通にちなんだ駅名です。
中央弘前駅、中央前橋駅、中央林間駅などのように、地名の接頭語として「中央」が使われることもあります。

JTB時刻表などの冊子型時刻表では、都道府県所在地の代表駅を二重の正方形で、それ以外の市の代表駅を◎で表示しています。JRの旅客営業規則では、中心駅という用語が使われています。

大韓民国：都市の中心駅には、ソウル駅のように都市名がそのまま使われます。
中央駅 (京畿道)
中央駅 (釜山広域市)
東豆川中央駅
昌原中央駅
議政府中央駅
三成中央駅
光教中央駅
アメリカ合衆国・カナダ：複数の鉄道会社が共同で使用する駅を「ユニオンステーション（Union Station）」と呼ぶことがあり、都市の中央駅として機能することが多いですが、シカゴのように他にもターミナル駅が存在することもあります。

その他の情報

関連用語として、セントラル駅、ターミナル駅、市駅などがあります。また、泉中央駅、いずみ中央駅、和[[泉中央駅]]のように、「中央」という言葉を含む駅名も存在します。

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