中尉 (古代中国)

中尉（ちゅうい）

中尉は、古代中国に存在した官職であり、主に秦代から漢代にかけて重要な役割を果たしました。皇帝直属の官としては、首都の警備や軍事的な任務を担い、諸侯王の王国においては、軍事・警察の長として機能しました。

秦代における中尉

秦の時代には、太尉と共に中尉が置かれていました。その具体的な職務内容については詳細な記録が残っていませんが、軍事に関わる重要な役割を担っていたと考えられています。

前漢における中尉

前漢では、劉邦が反秦の兵を挙げ、漢王に封じられた際に、曹参や周昌を中尉に任命しました。中尉は首都の巡回・警備を担当し、首都の兵士を統率する役割を担いました。具体的には、宮殿を含む南軍と、宮殿から離れた北軍があり、中尉は主に北軍を指揮しました。

武帝の時代になると、太初元年に中尉は執金吾と改称されました。中尉の下には、2人の丞のほか、候、司馬、千人などの属官がおり、それぞれが特定の職務を担当していました。例えば、中塁令は警備・守備関連の職務を担っていたと考えられていますが、詳細は不明です。武庫令は長安の武器庫を管理し、郡邸長は王侯や郡の役人が都に滞在する際に利用する邸を管理しました。また、式道候は皇帝の外出時に道を浄める役割を担い、左輔都尉と右輔都尉は首都付近の軍事・警察を担当しました。

中尉の属官

中尉丞（2人）
中尉候
中尉司馬
中尉千人
中塁令 - 中塁丞、中塁尉（2人）
寺互令 - 寺互丞
武庫令 - 武庫丞（3人）
都船令 - 都船丞
郡邸長 - 郡邸丞
式道左候 - 式道左候丞
式道右候 - 式道右候丞
式道中候 - 式道中候丞
左輔都尉 - 左輔都尉丞
右輔都尉 - 右輔都尉丞

漢の諸侯王における中尉

漢の時代には、皇帝によって封じられた諸侯王の王国にも中尉が置かれました。諸侯王の下には太尉が置かれなかったため、中尉が軍事の長として機能しました。前漢の成帝の時代には、王国で民政を担当していた内史の権限が一部中尉に移され、王と中尉が互いに権勢を争うこともあったようです。後漢においても中尉は引き続き置かれ、盗賊の追討などの任務を担当しました。

中尉に関連する人物

荀欣：趙の中尉
曹参：前漢の中尉
周昌：前漢の中尉
宋昌：代の中尉
周亜夫：前漢の中尉
衛綰：前漢の中尉
郅都：前漢の中尉
寧成：前漢の中尉
張敺：前漢の中尉
趙禹：前漢の中尉
王温舒：前漢の中尉
楊俊：後漢（魏）の中尉
徐奕：後漢（魏）の中尉
国淵：後漢（魏）の中尉

これらの人物は、それぞれの時代において中尉として重要な役割を果たしました。

まとめ

中尉は、古代中国の秦・漢代において、首都の警備や軍事、諸侯王国の軍事・警察を担う重要な官職でした。時代とともに職務内容や属官、名称が変化しましたが、それぞれの時代において社会の安定に貢献しました。

もう一度検索