中島義雄

中島義雄の生涯：官僚から実業家へ

中島義雄（なかじま よしお）は、1942年3月30日に東京都千代田区で生まれました。彼は、日本の大蔵官僚、そして実業家として、そのキャリアを通じて多岐にわたる分野で活躍しました。彼の足跡は、官僚としての厳格さと、実業家としての柔軟な思考を併せ持つ、稀有な人物像を描き出しています。

学生時代と官僚としてのキャリア

中島は、麹町小学校、麹町中学校、日比谷高校を経て、東京大学文科一類に入学。東京大学法学部を卒業しました。東大在学中は社会主義学生同盟に所属し、駒場自治会委員長選挙で社会主義青年同盟の江田五月に敗れましたが、副委員長として活動しました。その在任中には全学ストライキを主導し、1年間の停学処分を受けるなど、学生運動にも積極的に関わっていました。また、丸山真男ゼミに所属し、政治思想への深い関心も持っていました。

大学在学中に国家公務員上級試験に4番で合格し、大蔵省に入省。「花の41年組」と呼ばれた同期の中でも、将来を嘱望される存在でした。入省後は、予算編成を担当する主計局を中心にキャリアを積み重ね、三条税務署長などを歴任しました。1976年には主計局主査、大臣官房秘書課企画官、主計企画官、主計官などを経て、1989年に主計局総務課長に就任。その後、海部内閣、宮沢内閣で内閣総理大臣秘書官を務めました。1993年には主計局次長に就任し、順調な官僚キャリアを歩んでいました。

しかし、1995年に二信組事件に関わったイ・アイ・イ・インターナショナルの高橋治則との親密な関係が問題視され、財政金融研究所長を最後に大蔵省を辞任。この際、退職金は辞退しました。

実業家としての転身

大蔵省退官後、中島は米国ランバス大学に留学し、その後、1997年に京セラに入社しました。同社では理事、京セラミタ専務、京セラ北京代表所首席代表などを歴任。2005年には船井電機に入社し、取締役兼執行役副社長を務めました。2009年からはセーラー万年筆に移り、常務取締役、副社長を経て、社長に就任。2016年3月までその職を務めました。

2017年6月には株式会社TBグループの社外取締役に就任、2018年2月には太陽光発電電力供給を手掛けるKエナジーの代表取締役に就任し、現在に至るまでクリーンエネルギー分野で活躍しています。

詳細な略歴

1966年4月：大蔵省入省、主計局総務課配属
1967年：大阪国税局調査部
1969年：大臣官房調査企画課調査第一係長
1971年7月：関東信越国税局三条税務署長
1972年7月：国税庁調査査察部査察課課長補佐
1973年：銀行局特別金融課課長補佐（農林金融担当）
1975年：大臣官房秘書課課長補佐（調査担当）兼文書課課長補佐（審査・管理担当）
1976年：主計局主計官補佐（厚生第四、五係主査）
1978年：主計局主計官補佐（厚生第一、二係主査）
1979年：主計局総務課長補佐（企画担当）
1981年6月：大臣官房企画官兼大臣官房秘書課
1983年6月：主計局主計企画官（財政計画担当）
1985年6月：主計局主計官（厚生・労働担当）
1988年6月：主計局主計官兼主計局総務課（企画担当）
1989年6月：主計局総務課長
1989年7月：主計局総務課長
1991年6月：内閣総理大臣秘書官（海部内閣・宮沢内閣）
1993年6月：主計局次長（末席）
1994年7月：主計局次長（次席）
1995年5月：大臣官房付
1995年6月：財政金融研究所長兼会計センター所長
1995年7月：財政金融研究所長兼会計センター所長にて退官
1997年12月：京セラ株式会社理事
2000年3月：京セラミタ株式会社代表取締役専務取締役
2003年3月：京セラ株式会社北京代表所首席代表　京セラ（天津）商貿有限公司董事総経理
2005年4月：船井電機株式会社最高顧問
2005年6月：船井電機株式会社取締役執行役副社長
2009年3月：セーラー万年筆株式会社常務取締役
2009年10月：同社代表取締役副社長
2009年12月：同社代表取締役社長
2010年6月：オリエンタルチエン工業株式会社監査役
2015年12月末：同社代表取締役社長を退任し、同社取締役に就任
2016年3月：同社取締役を退任
2017年6月：株式会社TBグループ社外取締役就任
2018年2月：Kエナジー代表取締役就任

著書

『あなたの長寿社会読本　豊かな雇用・年金・医療・福祉をめざして』ダイヤモンド社、1988年、新版1990年

中島義雄の生涯は、激動の時代を背景に、官僚としての経験と実業家としての手腕を併せ持つ、稀有な人物の物語として、私たちの記憶に刻まれるでしょう。

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