中村 (伊丹市)

兵庫県伊丹市の大字、中村

中村（なかむら）は、兵庫県伊丹市に存在する大字であり、住居表示は実施されていません。郵便番号は664-0838です。この地域は、伊丹市の北東部に位置し、猪名川の東岸に接しています。特徴的なのは、大阪国際空港に隣接している点です。

地理

中村は、北は下河原、東は小阪田、南東は大字西桑津、南は桑津、南西は大字東桑津、西は北河原、そして北西の一点で北伊丹とそれぞれ隣接しています。かつて存在したバラックは全て撤去され、現在では整備事業が完了しています。2019年6月30日以降、この地域の人口は0人となっています。

地名の由来

「中村」という地名は、鎌倉時代に遡る荘園名に由来します。旧川辺郡神津村の大字となった際には、「中」ではなく「村」を残して「中村」とされました。1964年に神津村が解村し、小阪田に編入された地域は、現在の大字中村と区別するために「旧中村」と呼ばれることがあります。

歴史

中村の歴史は古く、1937年の大阪第二飛行場（現在の大阪国際空港）建設工事中に銅鐸が出土したことから、弥生時代にはすでに集落が形成されていたと推定されています。鎌倉時代には荘園として記録されており、多田院にこの地の私領田から法花読踊僧膳供料が寄進されていました。

江戸時代には、幕府領、武蔵国岩槻藩領（飛地）、岡部藩領（飛地）などを経て、1746年に田安家領となりました。1889年の町村制施行により神津村の大字となり、1937年に大阪第二飛行場が開港してからは、空港拡張工事によって用地収用が繰り返されました。1947年に神津村が伊丹市に編入された後、1964年に解村式が行われました。この際、中村の鎮守であった素盞嗚神社は近隣の桑津神社に合祀され、法性寺は市内の中野へ、来恩寺は昆陽へとそれぞれ移転しました。

在日韓国・朝鮮人集団移転問題

1935年に開始された大阪第二飛行場建設工事の際、建設に従事した朝鮮半島出身者の飯場が、空港の北西に設けられました。戦後も多くの在日韓国・朝鮮人が当地に留まり、集落を形成しました。当該地区は大阪国際空港の国有地であったため、日本国政府は「不法占拠」として立ち退きを要求しましたが、2001年から伊丹市、兵庫県、国土交通省が住民と協議を行い、近接する桑津4丁目の市営住宅への転居で合意しました。2009年に全世帯の移転が完了し、跡地には記念碑が建立されました。

参考文献

• - 角川日本地名大辞典 28 兵庫県（1988年）
• - 金菱清『生きられた法の社会学 伊丹空港「不法占拠」はなぜ補償されたのか』（新曜社、2008年）ISBN 978-4-7885-1087-6

関連項目

• - 焼肉ドラゴン - 演劇。かつての中村地区が舞台のモデルになっている。
• - ウトロ地区

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