中村由香里 (競輪選手)

中村 由香里（なかむら ゆかり）は、1981年3月9日生まれ、大阪市出身の女子競輪選手です。日本競輪学校（現：日本競輪選手養成所）の第102期生にあたり、ガールズケイリンの創設期を支えた第1期生として知られています。師匠は田谷勇（54期）で、弟子には石田典大（123期）がいます。

幼少期からプロスポーツ選手になることを夢見ていましたが、当時は女性が活躍できるプロスポーツが限られていました。小学校4年生の頃、1988年のソウルオリンピックで金メダルを獲得した陸上選手フローレンス・ジョイナーに憧れ、陸上競技を始めました。大阪教育大学に進学後も陸上競技を続けながら、教員免許を取得。卒業後は夢であったプロスポーツ選手ではなく、小学校教員として教壇に立つ道を選びました。教師として働く傍ら、趣味としてシクロクロスなどの自転車競技大会に出場しており、これが後の競輪人生へと繋がるきっかけとなります。

2009年10月、競輪学校でガールズケイリンの第1期生が募集されることを知り、プロ競輪選手になるという幼い頃からの夢を再び追いかけることを決意しました。当時担任していた小学校の6年生の卒業式を見届けた後、2010年3月に教員を辞職。教師生活に区切りをつけ、競輪選手への道を歩み始めます。

2011年2月25日、競輪学校の入学試験に見事合格。女子第1期生として入学し、在校中の競走訓練では54戦41勝という圧倒的な成績で第1位となりました。卒業記念レースでは加瀬加奈子に次ぐ2位に入り、その高い実力を見せつけました。そして、2012年3月24日に行われた卒業式では、学業、技能、人物全てにおいて総合的に優秀と評価され、「優等賞」が授与されました。

2012年5月1日、日本競輪選手会東京支部所属の競輪選手として正式に登録されました。ホームバンクは京王閣競輪場です。プロデビュー前の同年同月には、前橋競輪場で行われた全日本プロ選手権自転車競技大会のエキシビションレース「なでしこカップ」に出場し、強豪選手を抑えて優勝。そして迎えた同年7月8日のデビュー戦は、ホームバンクである京王閣競輪場でした。最終バックから鋭く捲りを決め、2着に大差をつけて圧勝。その後も連勝を続け、ガールズケイリン史上初の完全優勝を達成するという鮮烈なデビューを飾りました。同年10月23日には、年末開催のガールズグランプリ出場選手に選出されます。

2013年2月24日には、高松競輪場で行われた第1回ガールズケイリンコレクション高松ステージで優勝し、初のビッグタイトルを獲得。さらに年末の12月28日、立川競輪場で行われた第2回ガールズグランプリで見事に優勝を果たし、この年の年間獲得賞金額を1948万9000円として、女子の賞金女王に輝きました。

2014年6月29日には、取手競輪場で行われた第5回ガールズケイリンコレクション取手ステージでも優勝し、ガールズケイリンコレクションでは通算2勝目、自身3つ目のタイトルを獲得しました。ガールズケイリンコレクションには、同年の第6回（前橋ステージ）まで連続6回出場しています。同年7月16日には、岐阜競輪場でのレースで通算100勝を達成しました。

2015年以降はタイトル獲得からは遠ざかっていますが、安定した実力で第一線での活躍を続けています。2019年には競輪祭期間中に開催された「ガールズグランプリトライアルレース」に出場。同年12月には豊橋FIIで3日間全て1着の完全優勝を達成しました。40歳を超えてもなおその力は衰えず、2021年8月には京王閣FIで約2年ぶりの優勝を飾りました。また、2022年9月には名古屋競輪場で行われたガールズグランプリ覇者を中心とした企画レース「ティアラカップ」で2着に入るなど、コンスタントに好成績を収めています。

選手活動に加え、2022年7月からは日本競輪選手会東京支部の役員としても活動しています。また、123期の石田典大を含むアマチュア選手を含め、7名の弟子を指導するなど、後進の育成にも積極的に取り組んでいます。

主な獲得タイトルとしては、2013年のガールズケイリンコレクション高松ステージとガールズグランプリ2013、2014年のガールズケイリンコレクション取手ステージがあります。特に2013年には年間賞金女王にも輝いています。教員から競輪選手への華麗な転身を果たし、ガールズケイリンの歴史に名を刻むトップ選手の一人として、現在も走り続けています。

[参照: KEIRIN.JP 選手情報、サイクリングアーカイヴス 中村由香里Xアカウント]

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