中条三盛

中条三盛（なかじょう みつもり）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した日本の武将です。越後国の国人領主であった中条氏の第22代当主として、沼垂郡奥山庄に位置する鳥坂城を本拠としていました。彼は揚北衆三浦党の一員であり、主家である上杉氏に深く仕えました。

元亀4年、西暦に直すと天正元年（1573年）に、中条氏は父である景泰の長男として誕生しました。中条家は、古くは相模国を根拠地とした名家であり、鎌倉幕府の成立に貢献した平姓三浦氏、そしてその流れを汲む和田氏につながる由緒正しい家系です。父・景泰は、天正10年（1582年）に織田信長による越中侵攻において、魚津城を守る戦いの最中に討死しました。

父の戦死を受けて、三盛はまだ元服前の幼年であり、幼名を一黒丸と名乗っていましたが、家督を継承することとなります。当時の上杉家の当主であった上杉景勝は、幼い三盛の家督相続を特例として認め、中条家の所領を引き続き安堵しました。この時、中条家の家老を務めていた築地資豊が名代後見人として、幼い当主を支える役割を担いました。

文禄3年（1594年）、上杉景勝が豊臣秀吉の命により会津へ移封されると、三盛もそれに従って越後を離れ、出羽国置賜郡にある鮎貝城の城主となりました。この地で、彼は1万石の本領に加えて、同心分として3300石を与えられました。

慶長5年（1600年）に勃発した関ヶ原の戦いでは、上杉氏が最上氏を攻めた慶長出羽合戦において、三盛は水原親憲らと共に主力の一隊を率いて出陣しました。この戦いでは、最上氏が支配する支城の攻略に大きな功績を挙げたことが伝えられています。

関ヶ原の戦いの結果、上杉家は米沢藩への転封を余儀なくされました。この際、上杉家の石高は大幅に削減されましたが、三盛は引き続き鮎貝城主を務めることを許されます。ただし、彼の石高もかつての約3分の1へと減少しました。その後、彼は自身の禄の中から、弟や叔父といった近親者に所領の一部を分与し、最終的な自身の知行は1800石となりました。晩年、かつて最上攻めの際に受けた戦傷が悪化し、これが原因で鮎貝城にてその生涯を閉じました。

三盛の死後、嫡男である盛直が家督を継承しましたが、彼も父と同様に若年でした。この相続を巡り、叔父にあたる中条資種と、かつて三盛の後見人を務めた家老・築地資豊の間で家督争いが発生します。この騒動を収拾するため、幼い盛直は米沢城に引き取られ、藩主の保護のもとで養育されることとなりました。中条家は、この後も米沢藩の上級家臣として存続し、幕末に至るまで侍頭、執権、奉行といった重要な役職を歴任し、米沢藩政において重きをなしました。

もう一度検索