中津橋

中津橋

中津橋は、長野県佐久市に位置する千曲川に架けられた、美しいトラス橋です。かつて中山道の千曲川を渡るための重要な橋であり、その優れた景観から「日本百名橋」の一つに選ばれています。

概要

現在の橋は、1932年（昭和7年）に開通しました。その後、1970年（昭和45年）に歩道が追加され、1996年（平成8年）には上流側に歩道橋と中津橋公園が整備されました。この橋は、中部北陸自然歩道の一部である「蓼科山麓と松並木の道」 (15.3 km) にも組み込まれています。

形式: 鋼3径間上路ゲルバートラス橋
橋格: 2等橋
橋長: 130.000 m
径間割: 26.600 m + (11.400 m + 53.200 m + 11.400 m) + 26.600 m
幅員:
総幅員: 6.22 m
有効幅員: 5.50 m
構造:
橋台: 半重力式橋台
橋脚: 井筒基礎
* 床版: 鉄筋コンクリート
鋼重: 272 t
施工: 日本橋梁

歴史

江戸時代初期には、川の中の岩を利用して木材を架けた「投渡し橋」と呼ばれる簡素な橋が存在しました。この橋の維持には、約100の村が参加する「橋組合村」が組織され、木材や人足を供給していました。

千曲川は当時「近郷無類の荒川」と呼ばれ、頻繁に氾濫を起こし、旅人や参勤交代の大名を悩ませていました。1721年（享保6年）には川中の岩が流失したため、翌年に橋の構造が変更され、御馬寄（左岸）側は刎橋、塩名田（右岸）側は平橋となりました。1743年（寛保3年）には船を連結した「船渡し」が用いられましたが、これも度々流失し、平均して2年に1回は流されるという状況でした。

明治時代に入り、1871年（明治4年）には有料橋となり、通行料として80文が徴収されました。その後、民間の船橋会社による船橋（「船つなぎ石」で固定された船の上に板を渡した橋）を経て、官営となりました。

1893年（明治25年）4月には、長野県によって近代的な木橋が架けられました。橋が架けられた地点が1889年（明治22年）に中津村となっていたことから、「中津橋」と命名されました。1910年（明治43年）3月には、橋長70間（約127 m）、幅員15尺（約4.5 m）の方丈式木橋が建設され、そして1931年度（昭和6年度）に現在の橋が完成しました。

中津橋は、かつては旧道路法に基づく国道14号でしたが、道路法の改正や道路整備を経て主要地方道下仁田浅科線となり、2019年現在では佐久市道59-001号線となっています。2017年度（平成29年度）には、支承と橋台の補修工事が行われました。

中津橋は、その美しい姿と歴史的な背景から、地域住民にとって大切な存在であり、訪れる人々を魅了し続けています。

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