中皮

中皮 (mesothelium) についての詳細

中皮は、体腔の表面を覆う膜状の組織であり、特に胸腔、心嚢、腹腔の部位に存在します。この膜は、最表面に単層の中皮細胞が配列され、その下には少量の結合組織が含まれています。中皮は、各部位においてさまざまな名称があり、胸腔を覆う場合は「胸膜」、腹腔では「腹膜」、心臓の表面では「心外膜」と呼ばれています。さらに、胸膜や腹膜は、体壁側と臓器表面側にそれぞれ細分され、壁側胸膜、臓側胸膜、壁側腹膜、臓側腹膜といった構造があります。

腹膜は「漿膜」とも呼ばれることが多く、体腔内には漿液と称される少量の液体が存在します。この漿液は、体腔の潤滑を助ける役割を果たしています。漿液は無色透明で、通常の血清に比べて低濃度のタンパク質を含む液体です。この液体には、少数ではあるもののリンパ球やマクロファージが含まれていますが、浮遊細胞はごく少数に限られています。生理的には、心臓や肺、消化器系は常に動き続けており、壁側と臓側の中皮はこの動きに応じて摩擦し合っています。この摩擦を軽減する役割を担うのが中皮と漿液なのです。

中皮細胞は、隙間なく体腔の表面を覆っており、その形状は通常扁平または立方体状です。また、静止状態にある中皮細胞は、細胞表面に微絨毛が密集しており、これが細胞の機能に寄与しています。細胞質内には1つの円形の核が存在し、隣接する中皮細胞同士の接触は非常に疎であるため、炎症などの刺激に応じて、外部からの細胞が浸潤しやすい構造となっています。中皮細胞は、潤滑剤の主成分であるプロテオグリカン、特に酸性ムコ多糖を生成し、分泌する能力を持っています。

関連項目

中皮の病状については、さまざまな疾患と関連しています。例えば、腔水症に分類される胸水、腹水、心嚢液貯留などが挙げられます。また、胸膜炎、心外膜炎、腹膜炎、漿膜炎といった炎症を引き起こすこともあります。さらに、中皮に関連する腫瘍としては中皮腫やアデノマトイド腫瘍が存在します。

体腔液の検査や細胞診も重要な分野であり、病気の診断に役立ちます。これらは、気胸などが発生する原因ともなりうるため、適切な理解と対処が求められます。中皮は体内の重要な部分を成すものであり、その機能や疾病の理解は、現代医学において大変重要なテーマの一つです。

もう一度検索