中華人民共和国国防部

中華人民共和国国防部

中華人民共和国国防部は、中華人民共和国の国防に関する業務を担う国家行政機関であり、国務院の構成部門の一つです。日本の防衛省に相当する機関であり、国防部長（大臣）が長を務めます。

職務

1954年憲法の公布に伴い、国務院の機関として新設された国防部は、当初「武装力の建設の指導」を担っていました。しかし、1975年憲法ではこの職務が削除され、総参謀部に引き継がれたとされています。1982年憲法では「国防建設事業の指導と管理」と規定され、核兵器を中心とする先端的兵器開発による国防力の強化を意味すると考えられています。

軍令面においては、1954年に人民解放軍総司令の職が廃止され、国防部長がその職務を継承し、国家主席の命令を受けて軍令を掌握していました。しかし、1959年に林彪が国防部長に就任すると、軍事機構の改革が行われ、軍の指揮・統制権は中国共産党中央軍事委員会に移管されました。鄧小平政権下では、党中央軍事委員会常務副主席が軍令の権限を掌握しました。

現在の国防部は、対外的に中国の事実上の国軍とみなされている中国人民解放軍に対する指揮・統制権を保有していません。中国の政府、軍は全て中国共産党の領導を受けることが憲法前文に明記されており、中国人民解放軍は中国共産党中央軍事委員会が指揮します。国防部は主に、軍の編成、装備の調達、訓練、兵器の研究開発、外国の軍事筋との連絡などを担当する軍政機関としての役割を果たしています。

機構

国防部は以下の部門を管轄しています。

外事弁公室（主任は総参謀部外事局長が兼任）
征兵弁公室（主任は総参謀部動員部副部長が兼任）
維和弁公室（主任は総参謀部情報部副部長が兼任）
駐国連軍事参謀団
各国の駐在武官

これらの組織は、形式上、国防部が管轄しています。

歴代部長

国防部長は常に人民解放軍の将校が務め、大抵は中央軍事委員会の委員を兼任しています。歴代の国防部長は以下の通りです。

彭徳懐（1954年 - 1959年）
林彪（1959年 - 1971年）
葉剣英（1975年 - 1978年）
徐向前（1978年 - 1981年）
耿飈（1981年 - 1982年）
張愛萍（1982年 - 1988年）
秦基偉（1988年 - 1993年）
遅浩田（1993年 - 2003年）
曹剛川（2003年 - 2008年）
梁光烈（2008年 - 2013年）
常万全（2013年 - 2018年）
魏鳳和（2018年 - 2023年）
李尚福（2023年3月 - 2023年10月）
董軍（2023年12月29日 - 現職）

庁舎

国防部は、2000年まで北京北海公園西側の広橋、中国人民解放軍総参謀部の隣に位置していました。現在は中国人民革命軍事博物館の隣に庁舎が置かれています。また、北京の西山および玉泉山にもオフィスを構えています。

参考文献

平松茂雄『中国人民解放軍』岩波新書、1987年

関連事項

中国共産党中央軍事委員会
中国人民解放軍
国防省

外部リンク

中華人民共和国国防部公式サイト（中国語）
* 中華人民共和国国防部公式サイト（英語）

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