主計寮

主計寮の概要

主計寮（しゅけいりょう）は、律令制度において民部省に属する重要な機関でした。その役割は、主に税収の管理や監査を行うことで、特に調税に関する業務を担っていました。唐名では金部や比部、度支とも呼ばれています。

主計寮の職掌と変遷

主計寮の職掌は、税収の量やその内容を正確に把握し、監査することにありました。具体的には、租税の数量を算出し、それが規定された基準に適合しているかどうかを確認するための業務を行っていました。しかし、歴史的にはその役割が変化しており、『令集解』によれば、大宝律令と養老律令では異なる職務内容が定められていました。

大宝律令においては、「計納調租財貨」を扱う役所とされ、主に非労働的な租税の収納と計量に関する業務に特化していました。一方、養老律令では「計納調及雑物」と改められ、民部省の職務であった「計納国用」や「勾用度」は「支度国用」や「勘勾用度」として新しい役割が加わり、庸の管理も行うようになりました。これにより、主計寮はより広範な財政業務を担当することになり、民部省は監査等の権限を持つことになりました。

このように、主計寮は税制改革の影響を受けつつも、その機能は重要でした。特に、地方財政を管理する役割においては、租税（特に租）や出挙に関する帳簿確認を通じた監査が核心的な業務となっていました。これには算数の技術が欠かせず、算博士は常に主計寮または主税寮で重要な職位を担っていました。これにより、主計寮は律令制度の崩壊後も存続し、影響力を持ち続けました。

職員の構成

主計寮内部は多くの職員で構成されており、それぞれに特定の役割が割り当てられていました。主要な職員には、次のような役職がありました：

• - 頭（従五位上）：計部郎中、金部郎中、比部郎中、度支郎中の名称で知られ、主計寮の管理や監督を行った。
• - 助（正六位下）：度支員外郎、金部員外郎、比部員外郎として、頭を補佐しました。
• - 允（度支部郎）：業務においての実務担当者でした。
• - 大允（正七位下）や少允（従七位上）：更なる職階として、業務の執行にあたった。
• - 属（度支主事、金部主事、比部主事）：各部門の実務担当者。
• - 大属（従八位上）、少属（従八位下）：下級職員で、支援業務に従事しました。
• - 算師（従八位下）：計算を専門とし、財政管理に不可欠な職務を担いました。

また、史生や寮掌、新設の使部、直丁なども含まれ、主計寮全体の機能を支える役割を果たしていました。

現代の継承

主計寮の名称は現代においても引き継がれており、財務省の主計局や主計官はその伝統を受け継いでいます。このように、主計寮は古代日本の財政システムにおいて重要な役割を果たし、その影響は今もなお続いていると言えるでしょう。

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