久我敦通

久我敦通（こが あつみち）：室町・安土桃山時代の公卿

久我敦通は、室町時代後期から安土桃山時代にかけての公卿であり、正親町天皇と後陽成天皇の二代にわたって朝廷に仕え、正二位権大納言にまで昇りつめました。久我家21代当主。

生涯

永禄9年（1566年）に叙爵し、公卿としての道を歩み始めます。しかし、永禄11年（1568年）には、父である久我通堅が目々典侍との密通の噂が立ち、正親町天皇の怒りを買い京都から追放されるという事件が起こります。さらに、元亀4年（1573年）には、祖父である晴通が将軍・足利義昭の京都追放に同行するという事態に見舞われます。

天正3年（1575年）3月に祖父が、翌4月には父が相次いで亡くなりますが、織田信長の配慮により家督の継承が認められ、同年11月には信長から所領を安堵されました。この信長の支援が、その後の久我家の命運を大きく左右することになります。

その後は順調に昇進を重ね、天正6年（1578年）には従三位に達して公卿に列し、天正10年（1582年）には権大納言、天正15年（1587年）には従二位に昇叙されました。

文禄4年（1595年）からは武家伝奏となり、朝廷と豊臣氏との間を取り持つ重要な役割を担いました。豊臣家からの信頼も厚く、しばしば加増を受けています。

しかし、慶長4年（1599年）には、長橋局との密通の噂が立ち、子の通世とともに後陽成天皇の怒りを買い、再び京都から追放されるという不名誉な事態に見舞われました。

系譜

父：久我通堅
母：佐々木氏
正室：興春院 - 久我晴通の娘、離別後、小倉季藤室
男子：久我通世（1583-1615） - 息子季通は梅渓家祖
女子：豊臣秀頼に侍す
生母不詳
男子：久我通前（1591-1635） - 兄通世養子、久我家を継ぐ
男子：久世通式（1593-1628） - 久世家祖

久我家と久世家

久我敦通は、公家である久我家の一員であり、その子孫は久世家を創設しました。このように、公家から武家へと家系が分かれることは、当時の社会において珍しいことではありませんでした。

久我敦通の生涯は、織田信長、豊臣秀吉といった時代の権力者との関わりの中で大きく変動しました。朝廷と武家との関係、公家の役割、そして個人の運命が複雑に絡み合った、波乱に満ちた人生だったと言えるでしょう。

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