久我通堅

久我通堅：戦国時代の公卿、栄光と失墜の生涯

久我通堅（こが みちかた）は、戦国時代の公卿であり、久我家20代当主として知られています。彼の生涯は、華やかな出世と、その後の失脚という波乱に満ちたものでした。

若き日の栄進

天文11年（1542年）に叙爵し、公卿としての道を歩み始めます。侍従を皮切りに、備前権介、左近衛中将、備前権守、権中納言といった要職を歴任し、その才能を発揮しました。弘治2年（1556年）には、源氏長者という名誉ある地位に就任し、久我家における存在感を高めます。

弘治3年（1557年）には、権大納言に任じられ、その勢いは止まることを知りませんでした。永禄元年（1558年）には右近衛大将、永禄3年（1560年）には正二位に昇叙されるなど、順風満帆な日々を送っていたと言えるでしょう。

突然の失脚と苦難

しかし、その栄光は長くは続きませんでした。正二位に叙せられて間もなく、通堅は勅勘を被り、永禄8年（1565年）には従二位に落とされてしまいます。原因は定かではありませんが、彼の運命は暗転し始めます。

さらに追い打ちをかけるように、永禄11年（1568年）には、正親町天皇が寵愛する目々典侍（飛鳥井雅綱の娘）との密通疑惑が持ち上がります。これにより、再び勅勘を受け、官職を解かれてしまうのです。父の晴通は、織田信長や三条西実澄、万里小路惟房らを通じて赦免を得ようと奔走しますが、天皇の怒りは収まらず、許されることはありませんでした。

元亀元年（1570年）には、自ら逼塞先の堺から京都に潜入し、儲宮である誠仁親王に会談を申し入れ、取り成しを依頼します。しかし、それでも天皇の怒りが解けることはありませんでした。

晩年と死

元亀4年（1573年）、従兄にあたる将軍・足利義昭が織田信長によって京都から追放されると、父の晴通もこれに従って京都を去ります。金子拓の研究によれば、追放された義昭が堺に滞在した時期があることから、この時に通堅も父や従弟と合流した可能性が高いと指摘されています。

天正3年3月13日に父・久我晴通が亡くなると、そのわずか数週間後の4月6日、通堅も後を追うように堺にて薨去しました。享年35歳という若さでした。

系譜

父：久我晴通（1519-1575）
母：武田元光の娘（?-1553）
妻：佐々木氏
男子：久我敦通（1565-1625）
生母不明の子女
三男：下津俸庵（1570-1631）
* 女子：久我俊子（?-1651） - 六条有広室、のち新大納言局

久我通堅の生涯は、戦国時代の公卿社会における権力闘争と、それに翻弄される人々の姿を映し出していると言えるでしょう。

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