久種湖

久種湖（くしゅこ）

久種湖は、北海道の北端に位置する淡水湖で、宗谷総合振興局管内の礼文町にあります。この湖は、アイヌ語で「山越えする沼」を意味する「モスリート」または「クシケント」に由来しています。日本の施政権が及ぶ範囲では最北端の湖として知られ、利尻礼文サロベツ国立公園の一部でもあり、環境省により重要湿地にも指定されています。

地理的特徴

久種湖は、船泊湾の内側、およそ200メートルの場所にあり、東側には114メートル、西側には171メートルの低い山があります。また、南側には小規模な湿地帯が広がっています。この湖は北に流れる大備川（オションナイ川）が海に注ぐ地点で、砂丘や砂堤に囲まれた堰止湖として形成されていますが、海跡湖とする見解もあります。冬になると湖は結氷し、南側には沼ノ沢と呼ばれる湿地が広がります。

流入・流出河川

• - 流入河川: 大備川（オションナイ川）、および1本の小川（東側から流れ込む川幅約1メートル）
• - 流出河川: 大備川

生態系

久種湖はミズバショウの群生地として名高い場所であり、様々な生物が住み着いています。明治の中頃には、船泊尋常小学校の生徒によって放養されたコイの他、フナ、アメマス、ワカサギ、ウグイ、ヌマガレイなどの魚類が生息しています。また、冬季にはハクチョウ、マガモ、ヨシガモ、コガモなどの水鳥も訪れます。5月には大備川を遡上するワカサギの姿も見ることができます。湖岸の約83.3%は自然の状態を保っており、残りの16.7%は少しの人為的改変が行われています。

水質については、全リン濃度が0.056mg/l、全チッソ濃度が0.78mg/lと栄養塩濃度は高めで、植物プランクトンの繁殖も活発です。クロロフィルaの量は39.4ug/lに達しており、CODも9.5mg/lと高いことから、この湖は富栄養湖に分類されます。

地質

久種湖周辺の地質は、沖積層（砂、礫、粘土）と新第三紀メシクニ層（礫岩、砂岩、頁岩）、新第三紀浜中層（硬質頁岩、泥岩、砂岩）から成り立っています。

観光情報

湖の周辺にはキャンプ場や展望台が整備されており、湖を一周する遊歩道もあります。湖西岸ではチャシ跡が見られることから、歴史的な観光スポットでもあります。また、湖畔には悲愛伝説が伝えられ、地域の文化を感じることができます。かつてここには日本最北端の牧場が存在していたものの、現在は閉鎖されています。この牧場は、ドラマ『熱中時代（先生編）』の舞台となったことで知られています。

アクセス

久種湖へのアクセスは、船泊集落に近く、北海道道507号船泊港利礼公園線や北海道道40号礼文島線を利用することができます。最寄りの香深港からはバスでおよそ50分の距離にあります。

この湖は、その美しい自然環境と豊かな生態系により、多くの観光客や自然愛好家に人気を集めています。

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