久米民之助

久米 民之助について

久米 民之助（くめ たみのすけ、1861年10月1日 - 1931年5月24日）は、日本の著名な土木技術者、実業家、政治家として知られ、特に群馬県沼田市において顕彰されています。衆議院議員を4期務め、地域に積極的に貢献した人物です。

幼少期と学問

彼は上野国沼田、現在の群馬県沼田市に誕生しました。父は沼田藩士であり、幼少期に両親を亡くしたため継母に育てられました。1876年、彼は上京し、慶應義塾に入学。1878年には工部大学校土木科に進み、1884年に優秀な成績で卒業しました。この際の学びを基に、彼は土木の分野での活動を開始しました。

キャリアの始まり

卒業後、彼は高島嘉右衛門の土木事業に参加し、宮内省にも入りました。特に皇居正門の石橋の設計に関わるなど、その技術力を示しました。1886年には工部大学校の助教授に就任するも、同年に辞職し、大倉喜八郎の大倉組商会に入社。ここでも佐世保鎮守府開盤工事に従事しました。

海外での経験

1887年には清国に渡り、李鴻章に鉄道の重要性を説くなど、国際的な視野を持つようになります。その後、1890年まで欧米諸国を視察。さまざまな技術や知識を吸収し、帰国後には久米工業事務所を設立、多くの鉄道工事を手掛けていきました。

政治家としての活動

久米は1898年に第5回衆議院議員総選挙で当選し、その後も連続4回の当選を果たしました。しかし、実業に重きを置いていた彼は政治家としての活動には執着せず、1904年には立候補を断念しました。政治生活は約5年にわたり、主に実業家としての道を進むこととなります。

地元への貢献

彼は故郷の沼田に深い愛着を持ち、1917年、荒廃していた沼田城址を公園にすることを決意しました。土地を買収し、自ら整備したこの公園は、1926年に寄付され、現在は沼田公園として多くの市民に親しまれています。園内には彼の胸像と遺徳顕彰碑が設置されています。

山岳観光への情熱

1918年には韓国の金剛山を視察し、そこでの観光開発に取り組むことにしました。1919年に金剛山電気鉄道株式会社を設立し、社長に就任しますが、事業は困難な道のりを歩むことになります。第一次世界大戦の影響や震災による資金難など、様々な困難に直面しましたが、彼は金剛山の観光開発に情熱を注ぎ続けました。

最期と遺産

1931年に病に倒れるも、金剛山の開発に尽力し続けました。彼の遺骨の一部は金剛山にある顕彰碑の下に分骨されており、さらに「久米山荘」という名前の山小屋も建設されています。しかし、時代の波により彼の努力が忘れ去られることもありました。

家族とその後

久米の家族もまた多彩で、長女は養子となり家を再興させ、他の子供たちも各々の道で活躍しました。彼の業績は日本の土木技術の発展だけでなく、地域への貢献としても記憶されています。

空間を創造し、地域を支えた久米民之助の歩みは、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

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