九七式飛行艇

九七式飛行艇 (H6K)

九七式飛行艇は、大日本帝国[[海軍]]によって開発された飛行艇で、1936年に初飛行を果たしました。この機体は、当時純国産の実用四発機として、なかでも初めてのものとなりました。主に第二次世界大戦初期において、長距離偵察任務に活躍しました。通称として、九七大艇や九七式大艇と呼ばれ、連合軍のコードネーム「Mavis」でも知られています。

開発経緯

九七式飛行艇の開発元である川西航空機（現：新明和工業）は、過去の大型飛行艇製造の経験があり、日本海軍からの強い要請を受けていました。この機体は、海軍の要求に応じて、さらなる性能向上に向けて設計が進められました。具体的には、航続距離4,625 km以上、巡航速度230 km/h以上、最大速度296 km/h以上という、世界の競合機を上回るスペックが求められました。

1934年には日本海軍が当時アメリカで開発されていたシコルスキー S-42やP2Y-1といった飛行艇に刺激を受け、これらを凌駕する性能を持つ飛行艇の設計が開始されました。川西は、これまでの経験を活かし、橋口義男及び菊原静男の指導の下で開発を進めました。1936年に試作1号機が初飛行に成功し、海軍に引き渡されるとテストが行われ、良好な性能が確認されました。1938年1月には正式に制式採用されました。

構造と運用

九七式飛行艇の特徴的な設計は、4基のエンジンを搭載し、航続距離と大きな搭載力を実現するために細長い主翼を採用しました。機体の高さを確保するため、主翼を高翼形式にし、胴体との接続には三角形の支柱を使用しています。これにより、離着水時の安定性が向上しました。

エンジンは試作機段階で840馬力のものを搭載していましたが、量産機では1000馬力の三菱金星四三型が採用され、最終的には最大1300馬力に達しました。最高速度は試作機の332 km/hから385 km/hまで向上し、戦術的な運用に寄与しました。

九七式飛行艇は1942年までに179機が生産され、様々な改良が施されました。実際には、南洋諸島への偵察や、ソビエトとの交渉時の心理的圧力としても利用され、また紀元2600年の特別観艦式には大編隊で参加するなど活躍の場を広げました。戦績としては、真珠湾攻撃後の南洋諸島における爆撃任務が挙げられ、南太平洋での戦いにも参加しましたが、戦局が厳しくなるにつれて損失が増加し、前線から後方での移送任務へとシフトせざるを得ませんでした。

輸送機型

また、一部の九七式飛行艇は輸送機型へ改造され、特に大日本航空においては旅客輸送も担当しました。これに伴い、機体の内装にも変更があり、リクライニングシートや給仕スペースが設けられ、一定数の旅客を輸送することが可能になりました。これらの機体は、民間航空としても運用され、独特の愛称を持っていたことからも多くの利用者に親しまれました。

終焉とその後

太平洋戦争が進行する中で、九七式飛行艇は様々な任務をこなしましたが、連合軍の攻撃を受けながら生存をかけた飛行が続き、多くの機体が失われました。戦争が終わる頃には、僅か5機が残存していましたが、それでも運用が続けられ、特に医薬品の輸送や講和公使の運送に用いられました。こうして九七式飛行艇は、その歴史に幕を閉じることになりました。

総じて、九七式飛行艇は大日本帝国[[海軍]]の重要な戦力とし、特異な役割を果たした重要な航空機であったと言えるでしょう。

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