九六式艦上爆撃機

九六式艦上爆撃機

九六式艦上爆撃機（きゅうろくしきかんじょうばくげきき）は、大日本帝国海軍が1936年に制式採用した愛知航空機製の複葉爆撃機です。海軍の記号はD1A2で、連合軍によるコードネームは「Susie」とされます。これは、先代機の九四式艦上爆撃機の発展型として登場しました。

設計と製造

この機体の設計は1935年から始まりました。当時の愛知航空機では九四式艦上爆撃機の生産と並行して、その発動機の出力向上と空気抵抗の軽減を目指して改修計画をスタートしました。1936年の10月には改修型の試作機が完成し、その後の審査で著しく性能が向上していることが確認されたため、同年の11月に九六式艦上爆撃機として採用されました。

九四艦爆からの外見上の主な違いとしては、発動機の更新によるカウルの大型化、風防の拡大、主脚へのスパッツ装着が挙げられます。性能面では、爆弾の搭載量は九四艦爆と変わらないものの、急降下時の制限速度が向上し、燃料搭載量が増えたため航続距離も大きく延びました。このように、複葉機としての完成形と呼べる性能を持っていましたが、愛知航空機はさらに進化させたモデルの開発を計画しました。しかし、すでに複葉機の時代は終わりを迎えており、九六式艦上爆撃機の後継機として単葉の九九式艦上[[爆撃機]]が登場することになります。

戦歴

九六艦爆は、支那事変（当時の中国との戦争）において航空作戦の主力として使用されました。1937年9月には、南京爆撃を行い、これが初陣となります。続いて華南や華中で行われた各作戦において、高い運動性能を生かした急降下爆撃が行われ、敵機との空中戦でも勝利を上げることができました。また、敵の飛行場に強行着陸して敵機を破壊する勇敢な行動を取った機体もあったと言われています。

日本海軍の爆撃機の中でも特に人気があり、「報国号」として献納された機体も多く存在しました。九九式艦上[[爆撃機]]の登場後は、前線を退くことになりましたが、一部の機体は練習用に改造され、九六式練習用爆撃機（D1A2-K）として1941年12月に採用されました。この時期、開戦初頭には偵察機の役割を果たし、軽空母「大鷹」での対潜水艦哨戒業務にも使用された記録があります。

生産と性能

九六式艦上爆撃機の生産は1936年から1940年まで行われ、合計428機が製造されました。以下はその基本性能です：

• - 乗員：2名
• - 全幅：11.40m
• - 全長：9.40m
• - 主翼面積：34.50m²
• - 自重：1,775kg
• - 搭載量：1,025kg
• - 全備重量：2,800kg
• - 発動機：中島「光」一型空冷星型9気筒
• - 出力：730hp（離昇）
• - 最大速度：309km/h（高度3,200m）
• - 急降下制限速度：537km/h
• - 実用上昇限度：6,980m
• - 航続距離：1,330km
• - 武装：7.7mm機銃×3（機首固定2+後席旋回1）
• - 爆装：250kg×1、30kg×2

この機体は、日本海軍の航空戦力の中でも重要な役割を果たし続けました。

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