九州縦貫自動車道

九州縦貫自動車道は、日本の国土開発幹線自動車道のひとつであり、九州地方を南北に貫く重要な幹線道路です。その略称は「九州縦貫道」として親しまれています。この路線は、九州の最北端に位置する福岡県北九州市を起点とし、南へ向かって鹿児島県鹿児島市に至る「鹿児島線」と、宮崎県宮崎市に至る「宮崎線」の二つのルートから構成されています。

これらの路線は、現在、高速自動車国道の路線として全区間が供用されています。鹿児島線は、その全線が「九州自動車道」として運用されています。一方、宮崎線は、起点の北九州市から宮崎県えびの市までの区間が鹿児島線と共通で「九州自動車道」として運用されており、えびの市から終点の宮崎市までの区間は「宮崎自動車道」として運用されています。

九州縦貫自動車道内には、複数の路線が同じ経路を通る重複区間が存在します。福岡県側の門司インターチェンジ（IC）から宮崎県側のえびのジャンクション（JCT）までの区間は、鹿児島線と宮崎線の両方が利用する区間です。また、鹿児島県の加治木ジャンクション（JCT）から鹿児島インターチェンジ（IC）までの区間は、鹿児島線と東九州自動車道が重複しています。これらの路線は、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が所有し、西日本高速道路株式会社（NEXCO西日本）が管理・運営を行っています。

九州縦貫自動車道の歴史は、1957年4月16日に国土開発縦貫自動車道建設法が公布・施行されたことに始まります。当初は「九州自動車道」という名称で、門司市（現在の北九州市）から鹿児島市に至る予定路線として定められました。主たる経由地として、福岡市、鳥栖市、日田市、熊本市、小林市付近が想定されていました。1964年6月16日の法改正により、起点が北九州市に改められ、経由地から日田市付近が削除されました。その後、1965年11月1日には、福岡市と熊本市を結ぶ「高速自動車国道九州自動車道福岡熊本線」が高速自動車国道として新たに指定されました。

1966年7月31日には、国土開発縦貫自動車道建設法が国土開発幹線自動車道建設法へと改称され、これに伴い従来の「九州自動車道」は「九州縦貫自動車道」へと名称が変更されました。この時、路線は鹿児島線と宮崎線の二つに正式に分割されました。鹿児島線は北九州市から鹿児島市へ、宮崎線は北九州市から宮崎市へと定義されました。両線ともに、福岡市、鳥栖市、熊本市、小林市付近を経由する主要なルートとして位置づけられました。

1967年11月22日には、鹿児島線と宮崎線が高速自動車国道として具体的に指定を受けました。この指定では、より詳細な重要な経過地が明記されました。鹿児島線は、直方市、福岡県糟屋郡古賀町、福岡市、鳥栖市、久留米市、八女市、筑後市、熊本県玉名郡菊水町、熊本市、八代市、人吉市、宮崎県西諸県郡えびの町、鹿児島県姶良郡加治木町を経て鹿児島市に至るとされました。宮崎線は、鹿児島線と途中まで同じ経路をたどり、えびの町から分岐して小林市、都城市を経て宮崎市に至るルートが定められました。

1987年9月1日には、国土開発幹線自動車道建設法の改正により、両路線の主たる経過地の一つであった「小林市附近」が「えびの市」に変更されました。路線の建設は順次進められ、鹿児島線では1971年6月30日に植木IC-熊本IC間が最初に開通しました。1995年7月27日には人吉IC-えびのIC間が開通し、これにより鹿児島線は一旦全線が開通しました（当初は暫定2車線区間を含む）。その後、2004年12月12日には人吉IC-えびのIC間の4車線化が完了し、鹿児島線は全線が4車線以上で供用されることとなりました。宮崎線は、1976年3月4日にえびのIC・えびのJCT-高原IC間が最初の開通区間となりました。1981年10月29日には都城IC-宮崎IC間が開通し、これにより宮崎線は全線が開通しました。宮崎線においても順次4車線化が進められ、2001年4月にはえびのパーキングエリア（PA）-えびのIC間の4車線化が完了し、宮崎線も全線が4車線で供用される運びとなりました。

九州縦貫自動車道は、国土開発幹線自動車道および高速自動車国道として、九州地方の南北交通の要として機能しています。九州を横断する九州横断自動車道や、東部を縦断する東九州自動車道などと共に、九州地方の広域的な交通ネットワークを形成しています。

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