乱藤四郎

乱藤四郎について

乱藤四郎（みだれとうしろう）は、鎌倉時代に作成された短刀で、重要な日本刀として日本美術刀剣保存協会に登録されています。この刀は、2017年時点では個人が所有しており、現在でも多くの人々から注目されています。

歴史的背景

乱藤四郎は、名刀家の藤四郎吉光によって製作されました。吉光は、山城国粟田口派に属する刀工の中でも特に有名で、その名声は今なお語り継がれています。彼が作る刀は一般的に直刃や直線的な刃文が特徴ですが、この刀は特異な刃文があり、それが「乱藤四郎」の名の由来となっています。いわゆる乱れた刃文です。

この刀は歴史の中で多くの所有者の手を渡り歩きました。かつては室町幕府の管領である細川勝元がこの刀を所有していたこともあり、「細川殿の乱藤四郎」と呼ばれていました。その後、細川家から足利将軍家に献上されるという運命をたどります。1569年、足利義昭は、近江国の領主である朽木元綱によって襲撃を逃れた際、彼に乱藤四郎を贈与しました。

伝来と所有者

乱藤四郎のその後の行方は不明な点も多いですが、江戸時代に入ると、徳川八代将軍吉宗の命によって作成された『享保名物帳』に本作が名前を記されることになります。この時点では、武蔵国の忍藩主、阿部正喬のもとにありました。しかし、1932年ごろに阿部家から離れ、その後の行方は未詳です。本阿弥光遜の『刀談片々』によれば、細川利文子爵が今度は所有するようになります。

近年では、日本刀研究家の澤口希能が所有しており、大阪府茨木市の日本刀剣博物技術研究財団がその保存に関与しています。

刀の作風

さて、乱藤四郎の特徴的な作風に目を向けてみましょう。刀身の長さは約22.6センチメートル（7寸4分5厘）で、平造りのスタイルを持っています。刃文は互の目乱れの形状をしており、鍛えは小杢目肌詰まりです。さらに、地沸が光沢を持ち、非常に美しい仕上がりです。また、茎の部分には「吉光」という二字の銘が刻まれています。

偽物の問題

ところが、この名刀にも陰りが存在します。2017年に、ヤフーオークションで「名物・乱藤四郎」として出品された短刀があり、入札価格が急上昇しました。しかし、結局この刀は偽物であったことが判明します。偽物と本物を見分けるための主なポイントとして、刀に刻まれた「吉光」の銘の違いや、ハバキの材質が挙げられます。その詳細は日本刀剣博物技術研究財団によって明かされ、偽物は展示会で本物と並べて展示されることになりました。

終わりに

乱藤四郎の美しさと歴史は、日本刀の中でも特に魅力的なものです。これまでの伝承や所有者の変遷、そして現代における偽物問題など、様々な側面から楽しむことができる名刀です。日本刀に興味がある方にとって、乱藤四郎は一度は見ておきたい名刀と言えるでしょう。

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