乾草沼

乾草沼（ひぐさぬま）

千葉県山武郡横芝光町宮川にある乾草沼は、九十九里[[平野]]に点在する数少ない海跡湖の一つです。この地域は、かつて「玉の浦」と呼ばれた海の入り江でしたが、海岸線の後退によって平野となり、その名残として多くの海跡湖が生まれました。しかし、これらの湖は新田開発の対象となり、多くのものが姿を消しました。

乾草沼の歴史

明治時代以降、開発がますます進み、九十九里[[平野]]の海跡湖の多くが失われる中、乾草沼は数少ない生き残りとして存在しています。この沼は、かつては豊かな水辺と湿地が広がり、多様な動植物が生息していましたが、新田開発や農業用水の整備、さらには住宅地開発によって、沼の水面は狭まり、モウセンゴケなどの食虫植物群は姿を消しました。

生態系と動植物

湿地は、人間にとっては生産性の低い土地と見なされがちですが、植物や昆虫などの小動物にとっては貴重な生命の宝庫です。乾草沼は、開発によって失われた湿地生態系の重要な生息地として、その価値を高めています。特に、昆虫類、中でもトンボ類が豊富で、関東周辺では珍しい8科31種が生息しています。環境省レッドリストに掲載されているオオモノサシトンボ、ベニイトトンボ、ネアカヨシヤンマ、アオヤンマの4種や、千葉県レッドリストに掲載されているトラフトンボ、アオヤンマ、カトリヤンマなど、多くの希少種が確認されています。しかし、オオセスジイトトンボは近年確認されておらず、絶滅した可能性も指摘されています。また、東日本では絶滅したとみられていたミサキツノトビケラが発見されるなど、貴重な発見もあります。

現在の状況

現在の乾草沼は、横芝光町の公有地となっていますが、周辺の環境は危機的な状況にあります。沼の周囲では、樹木が伐採され、太陽光パネルが設置されたり、不法投棄物が見られたりするなど、自然環境の悪化が目立ちます。2018年頃には一時、自然環境を保全する活動が行われていましたが、現在は行われておらず、荒廃が進んでいます。また、外来種の侵入や釣り人のゴミ問題も深刻化しています。かつては豊かな生態系を誇っていた乾草沼は、多くの課題を抱え、その保全が急務となっています。

まとめ

乾草沼は、九十九里[[平野]]に残された貴重な自然遺産であり、その生態系は多くの動植物にとって重要な生息地です。しかし、開発や環境破壊の影響を受け、その環境は危機的な状況にあります。この貴重な自然を守り、次世代に引き継ぐためには、地域社会全体で保全に取り組む必要性があります。

関連情報

大利根用水：農業用水として重要な役割を担う水路。
両総用水：千葉県内を流れる用水路。
栗山川：九十九里[[平野]]を流れる川。
坂田池：近隣に位置する池。
多古光湿原：千葉県にある湿原。

外部リンク

乾草沼（ひぐさぬま）Higusa Swamp」ザ・レイクチャンプ シークレットポイント
* 乾草沼（南東から）」 九十九里浜平野の浜堤列間の湿地 中央博デジタルミュージアム

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