亀井貫一郎

亀井貫一郎の生涯と業績

亀井貫一郎（かめい かんいちろう）は、明治25年（1892年）11月10日に東京で生まれました。彼は旧津和野藩主亀井伯爵家の一門であり、亀井茲迪の長男として育ちました。教育においては、東京高等師範学校附属小学校や附属中学校を経て旧制第一高等学校を受け、その後、東京帝国大学法科大学の政治学科に進学します。1917年7月には同大学を卒業し、同年10月には外交官及領事官試験に合格し外務省に入省しました。

外務省では、外務事務官や通商局総務課での勤務を経て、一時的に休職し、1923年10月まで陸軍大臣官房や海軍大臣の特別嘱託としても働きました。その後、外務省に復帰し、1924年12月には外務省を退職しました。

政治活動を始めるのは1928年のことです。この年の総選挙で福岡県第2区から社会民衆党の公認候補として立候補し、初当選を果たしました。その後、衆議院議員として4期を務めました。途中、1回の落選を経験しながらも、無産政党に所属して活動を続けましたが、外交官時代に築いた人脈を生かし、国の改造を望む軍人たちとも親しく交流を持ちました。

特に、1931年には三月事件や十月事件において、赤松克麿とともに労働組合を動員し、決起を計画するなどの活動に関与しました。また、近衛文麿が提唱した新体制運動に関連し、秋山定輔や麻生久らとも密接な関わりを持ちました。大政翼賛会が成立すると、彼は総務兼企画局の東亜部長として活動を行いますが、その後、軍機保護法違反で検挙され、1942年12月には禁錮8月・執行猶予1年の有罪判決を受けることになります。

戦後の彼は、公職追放の措置を受け、衆議院不当財産取引調査特別委員会で証人喚問を受けるなど厳しい状況に置かれました。彼はまた、軍服の払い下げに関して詐欺を働き、1530万円を詐取したことから、懲役3年の執行猶予4年の判決も受けました。ただし、戦後も聖戦技術協会の理事長として731部隊の関係者の免責に関与していたという一面もありました。さらに、国鉄労働組合に関する動きにも関わりを持ち、GHQや中労委への対策についてアドバイスを行っていたとの記録もあります。

1951年8月に追放が解除された後、彼は1953年の総選挙（茨城県第1区・独立社会党）や1955年の総選挙（神奈川県第3区・右派社会党）に出馬しますが、政界復帰には成功しませんでした。

亀井貫一郎は1987年4月7日に95歳で亡くなりました。彼の生涯は、日本の外交と政治の変遷を色濃く反映したものであり、その活動は多方面にわたりました。彼と同時代の政治家たちとの関係や彼の活動が、当時の日本の歴史にどのように影響を与えたのかを探ることは、今もなお多くの研究者や歴史愛好者にとって興味深いテーマとなっています。

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