事任八幡宮

事任八幡宮（ことのままはちまんぐう）

静岡県掛川市八坂に位する事任八幡宮は、遠江国の一宮として知られ、県社の歴史的な神社です。主祭神として己等乃麻知媛命（ことのまちひめのみこと）を祀り、その他息長帯姫命や誉田別命、玉依比売命の三柱を合わせて八幡大神と称しています。神社のあちこちには「亀甲に卜象」や「左三つ巴」といった御神紋が見られます。

神社の位置と歴史

当社は、旧東海道に面し、日坂宿や小夜の中山の西の入口に位置します。この神社は、長野県の諏訪大社や戸隠山と南北一直線上に位置し、地域の重要な交通路に関連しています。また、国道1号の日坂バイパスにある「ことのままトンネル」はこの神社から名づけられました。

創建の日付は明確ではありませんが、社伝によれば成務天皇の時代に設立されたとされています。以前は真知乃神または任事神社と呼ばれ、『延喜式神名帳』にも「己等乃麻知神社」として記録されています。807年には、坂上田村麻呂が桓武天皇の命令で本宮山から現在の位置へ移転させたとされます。以降、八幡信仰が広まり、源頼義により石清水八幡宮から祭神が勧請されるなど、歴史的な背景が形成されました。

祭りと信仰の魅力

事任八幡宮の名前には「願い事が意のままに叶う」という意味が込められており、それが多くの人々に信仰を受け入れられる理由の一つとなっています。特に、旅の安全や願い事の成就を祈るため、多くの参拝者が訪れ、江戸幕府からも崇敬を受けていました。

この神社が人々に愛される理由には、平安時代に清少納言の『枕草子』においてこの神社が紹介されたことや、鎌倉時代や江戸時代に多くの作品に登場したことがあります。

例大祭は、日坂地区や八坂地区の町人たちが参加し、毎年9月の3日間にわたって行われます。祭りの歴史は少なくとも江戸時代に遡ることができると考えられ、雨乞いの祈祷によって豊作を祝う祭りがスタートしたようです。

特徴的な祭礼と屋台

例大祭では、朝顔屋台と呼ばれる二輪屋台が使われ、独特な形状が特徴です。また、引き回し方も特異で、手木を上下させる独自の方法で屋台を移動させるため、危険が伴いますが、正確にその技能が求められます。

近年、事任八幡宮はご遷座1200年祭を盛大に祝いました。この特別な年を機に様々なイベントが実施され、境内では蘭陵王の舞が奉納されるなど、盛況を極めました。

交通アクセス

事任八幡宮へのアクセスは、JR東海の掛川駅からバスで約20分、『ことのまま八幡宮』バス停下車、または掛川バイパス八坂ICから車で900mの場所に位置しています。

事任八幡宮は、その豊かな歴史と多彩な祭事により、地域の人々だけでなく、遠方から訪れる多くの参拝者にとっても忘れがたい場所となっています。

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