二見港 (東京都)

二見港 (ふたみこう)

概要

二見港は東京都小笠原村の父島に懸けられた地方港湾です。統計法に基づく分類では乙種港湾と位置付けられ、出入国管理法および検疫法に基づく出入国港および検疫港の役割を果たしています。港の隣には二見漁港があり、本記事ではその特色についても触れます。

立地

父島の西側にある二見湾は、約2キロメートルの湾口を持ち、奥行きは約4キロメートルに及びます。この湾の水深は約40メートルあり、大型の船舶も安全に停泊することができるため、天然の良港とされています。小笠原村は本土からおおよそ1,000キロメートル離れており、利用可能な民間空港が存在しないため、船舶による輸送が主要な交通手段となっています。そのため、二見港は本土と小笠原村を結ぶ重要な交通の拠点です。また、周辺海域では避難や休憩、物資補給の基点としても活用されています。

地元の第三管区海上保安本部小笠原海上保安署から派遣されている巡視艇や監視取締艇も常に配置されています。2021年の実績では、発着船数は8,424隻、利用客数は78,068人に上ります。

名の由来

二見湾という名称は、三重県伊勢市の二見浦にある夫婦岩にちなんで名付けられました。現在、その岩は漁港の防波堤の一部となっています。

歴史

1640年代から小笠原諸島への人が流入し始め、1670年には紀伊国からのミカン船が難破し母島に漂着したのが、日本人によります初の小笠原上陸と見なされています。その後、江戸幕府は1781年に小笠原諸島の探検を行い、父島、母島などとともに二見湾の名称もこの際に定められました。その後も江戸幕府は小笠原諸島の視察を試みましたが、開発の実現には至りませんでした。

19世紀には捕鯨の盛況により、小笠原近海には欧米各国の捕鯨船が来訪するようになりました。1827年にはイギリス海軍の艦隊が来港し、父島には「ピール島」、母島には「ベイリー島」と名付け、二見湾を「ロイド港」と命名しました。このことが契機となり、アメリカ人のナサニエル・セイヴァリーが父島に定住することとなります。

1853年、アメリカの海軍提督マシュー・ペリーが父島に寄港し、ポート・ロイドに石炭補給地を設けるため土地を購入したことが、幕府にとって小笠原の重要性を再認識させる契機となりました。その後、幕府は1854年に更なる調査を行い、1862年に小笠原の日本領であることを外部に通告します。

1968年には小笠原諸島が日本に返還され、二見港も戦前の施設が残る状態から新たに港湾設備の整備が進められることになりました。

近年の沿革

1970年から二見港の港湾設備建設が始まり、1972年には地方港湾に指定されました。以降、数多くの施設が整備され、徐々に港の機能が拡充されていきました。1991年以降、「おがさわら丸」という定期船が本土と父島を結び、2016年には最新の船が就航しました。

見送りの風習

「おがさわら丸」の出港時には、島民による盛大な見送りが行われます。出港の際には小笠原太鼓や南洋踊りが舞われ、集まった島民は「行ってらっしゃい」と声を掛け、船が湾を出るまで見送り続ける習慣があります。親しい人が島を離れる場合、手作りのレイを渡す風習も存在し、レイが海に届くことで再び父島に帰れるという伝説が根付いています。

港へのアクセス

二見港からは公共交通機関を利用でき、バスが島内各所を結んでいます。宿泊施設では、到着した際に迎えに来てもらえるサービスもあり、便利に過ごせるようになっています。

二見漁港

二見漁港は二見港の奥に設けられた漁港であり地元漁船の基地となっていて、様々な海産物が水揚げされます。観光遊漁船やプレジャーボートにとっても重要な拠点です。

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