鄧遐

鄧遐（とう か）

鄧遐（生没年不詳）は、東晋時代の軍人であり、字は応遠（おうえん）。父は平南将軍の鄧嶽（とうがく）。その勇猛さで知られたが、大司馬の桓温（かんおん）によって免官された。

生涯

督護（とくご）として東晋に仕え、永和8年（352年）には、征西大将軍の桓温から、益州牧（えきしゅうぼく）を自称する蕭敬文（しょうけいぶん）討伐の援軍を命じられる。益州刺史の周撫（しゅうぶ）と共に涪城（ふじょう）を攻めるも、攻略できずに撤退。

戦いは長期化し、桓温は梁州刺史の司馬勲（しばくん）を援軍として派遣。涪城を攻略し、蕭敬文を討ち取ってその首を建康（けんこう）へ送った。

その後も桓温に従い、数々の戦いで功績を挙げ、名将と称される。竟陵郡太守（きょうりょうぐんたいしゅ）に任じられた。

隆和元年（362年）には、前燕（ぜんえん）の呂護（ろご）率いる軍が洛陽（らくよう）に侵攻。鄧遐は北中郎将の庾希（ゆき）と共に、水軍3千を与えられ洛陽救援に向かう。前燕軍は撤退し、鄧遐は新城（しんじょう）に進軍し、ここに駐屯した。この功績により冠軍将軍（かんぐんしょうぐん）に任じられる。

太和4年（369年）、桓温による北伐が開始されると、鄧遐もこれに従軍。征虜将軍の朱序（しゅじょ）と共に先鋒を務め、林渚（りんしょ）で前燕の護軍将軍、傅顔（ふがん）を破る。

しかし、その後の戦いで東晋軍は前燕軍に敗北。桓温は山陽（さんよう）に軍を留める。この敗戦に強い憤りを感じた桓温は、以前から鄧遐の勇猛さを妬んでいたこともあり、これを理由に鄧遐を免官とした。

免官後、間もなく亡くなったとされ、寧康年間（ねいこうねんかん）に廬陵郡太守（ろりょうぐんたいしゅ）を追贈された。

人物・逸話

意気軒昂で、人並み外れた力を持っていたとされ、人々から前漢の樊噲（はんかい）の再来と評された。

襄陽（じょうよう）の北にある沔水（べんすい）には、蛟（みずち）が住み着き、人々を苦しめていた。これを聞いた鄧遐は、剣を手に沔水に入り、足にまとわりついてきた蛟を退治したという。

参考文献

『晋書』巻8、巻58、巻81、巻98
『資治通鑑』巻101 - 巻102
* 『十六国春秋』巻28 - 巻29

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