五条駅 (奈良県)

五條駅：和歌山線の要衝、そして五條市の心臓部

奈良県五條市須恵三丁目に位置する五條駅は、西日本旅客鉄道（JR西日本）和歌山線の駅です。五條市の中心部近くにあり、同市の代表駅として、地域住民の生活や経済活動に深く関わっています。和歌山線における重要な役割を担っており、多くの列車が当駅で乗務員交代を行うなど、運行上の要衝となっています。

歴史と発展

五條駅の歴史は古く、1896年（明治29年）に南和鉄道の駅として開業しました。その後、紀和鉄道の延伸開業により、両鉄道の接続駅となり、交通の要衝として発展を遂げました。戦前には、木材輸送を目的として紀勢本線の新宮駅までを結ぶ鉄道計画（五新線）がありましたが、実現には至りませんでした。一部完成した路盤は、後にバス専用道として利用されましたが、2014年には廃止されています。駅周辺は木材工業が発展した地域であり、駅舎もその歴史を反映した木造建築が一部に残っています。

和歌山線の電化は、王寺駅から五條駅、そして和歌山駅へと二段階で行われました。そのため、当駅は電化・非電化区間の境界駅であった時期もありました。また、近畿日本鉄道御所線の延伸計画も存在しましたが、実現には至らず、五條市は奈良県内では唯一、近鉄の路線が通っていない市となっています。

1949年には貨物列車が駅舎に衝突する事故が発生し、多数の死傷者を出しました。この事故は、当時の鉄道安全管理体制に問題があったことを示す出来事となりました。

駅の構造と設備

五條駅は、単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、合計2面3線の地上駅です。最大10両編成の列車が停車可能で、ローカル線の駅としてはホームの有効長が長いのが特徴です。ホーム間は地下通路で連絡しています。駅舎は木造とコンクリート造りが混在した独特の建築様式となっており、歴史を感じさせる外観です。駅舎内にはかつてキヨスクがありましたが、現在は自動販売機コーナーとなっています。また、柿の葉寿司店があり、地元の味覚を楽しめます。トイレは改札内外に設置されています。

駅はJR西日本王寺鉄道部の管理下にある業務委託駅で、営業部門はJR西日本交通サービスに委託されています。しかし、運転取扱い業務もあるため、JR西日本の社員も常駐しています。自動券売機やICOCA対応の簡易改札機も設置されています。

運行状況と利用状況

五條駅には、王寺方面と和歌山方面への列車が運行されています。朝夕は当駅発着の列車も多く設定されており、特に和歌山方面へは通学時間帯の混雑に対応するため、平日に快速列車が設定されています。また、大和路線と直通する快速列車も当駅まで乗り入れています。

2020年度の1日平均乗車人員は約984人です。近年は、利用者数の推移について、正確なデータの把握が必要です。

駅周辺

五條駅周辺は、木材工業によって発展した五條市の中心部です。市役所などの公共施設、イオン五條店などの商業施設、奈良県立五條高等学校や智辯学園中学校・高等学校などの学校が近接しています。観光施設としては、統神社、栄山寺、湯泉地温泉、十津川温泉、西吉野温泉なども比較的近くにあります。

バス路線

五條駅には、奈良交通と五條市コミュニティバスの路線が発着しています。奈良交通は八木新宮特急バスや智辯学園へのスクールバスなどを運行しています。五條市コミュニティバスは、「ゴーちゃんバス」として親しまれており、駅周辺と市内各地を結んでいます。

隣の駅

五條駅の隣駅は、北宇智駅と大和二見駅です。快速列車は当駅をまたがって運転されていません。

まとめ

五條駅は、和歌山線の重要な駅であり、五條市の生活の中心地として重要な役割を担っています。歴史と現代が交差するこの駅は、これからも五條市の発展を見守り続けるでしょう。

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