井上玄覚因碩

井上玄覚因碩（いのうえ げんかくいんせき）

井上玄覚因碩（1605年 - 1673年）は、江戸時代の囲碁棋士であり、家元井上家の二世として知られています。古因碩とも呼ばれ、その棋力は上手と評されました。

生涯

玄覚は山城国（現在の京都府）出身で、二世名人である中村道碩に師事しました。寛永7年（1630年）に道碩が亡くなる際、その禄の相続を願い出て、これを継承しました。これにより、碁打衆の禄は徳川幕府から家禄として認められるようになりました。しかし、玄覚の死後、本因坊道策の弟である道砂が井上家を継いだため、玄覚は初代井上因碩とされるようになりました。後に、井上幻庵因碩の時代に、道碩を井上家初代とする家系書き換えが行われ、以降、玄覚は井上家二世として記録されています。

寛永年間（1624年 - 1630年頃）には、禁裏にて道碩との対局が行われました。この対局は玄覚が先番で打ち、結果はジゴ（引き分け）となっています。

正保元年（1644年）、寺社奉行より道碩後継の碁打衆頭領の地位について詮議が行われた際、玄覚は本因坊算悦とともにこの地位を辞退しました。安井算哲も同様に就任には至りませんでした（碁所詮議）。

玄覚は京都にて没し、本因坊算砂、算悦、道硯、算哲らと共に、京都の寂光寺に葬られました。

逸話・その他

『隔蓂記』には、鹿苑寺に招かれた碁打衆の一人として玄碩法橋という人物が登場します。記録によると、明暦3年（1657年）に二世安井算哲（渋川春海）と先番で対局し、1勝1敗の成績を残しています。また、万治4年（1661年）には安井算知に先番で敗れ、寛文5年（1665年）には玄碩の子である玄悦が安井算知の弟子となっています。算哲に白を持たせるほどの打ち手であった玄碩は道碩の弟子とされていますが、この玄碩が玄覚と同一人物であるかどうかは定かではありません。

参考文献

水口藤雄、堀田トヨ「徳川将軍と御城碁および京都碁界に関する史料集」（『1995年度版囲碁年鑑』日本棋院 1995年）

外部リンク

木石庵「一世井上因碩（古因碩、玄覚）」

井上玄覚因碩は、その卓越した棋力と、囲碁界における重要な役割を通して、江戸時代の囲碁史に名を残しています。彼の生涯は、当時の囲碁界の様子や、棋士たちの人間関係を垣間見ることができる貴重な資料となっています。

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