交響曲 (グリーグ)

交響曲ハ短調について

エドヴァルド・グリーグが作曲した交響曲ハ短調（作品番号なし、EG.119）は、彼が生涯で唯一完成させた交響曲です。1863年から1864年にかけて作曲され、デンマークの作曲家ニルス・ゲーゼの勧めでコペンハーゲンで制作されました。

作曲と初演

グリーグは当初、この交響曲の全楽章をコペンハーゲンで演奏することを計画していました。しかし、実際には第1楽章を除く3つの楽章が1864年に初演され、その後、グリーグ自身も1865年と1867年に一部の楽章を指揮しています。さらに、彼の故郷であるベルゲンでも演奏されましたが、グリーグ自身はこれらの演奏を聴いていません。

封印された交響曲

1869年、グリーグは中間の2つの楽章をピアノ連弾用に編曲し、『2つの交響的作品』作品14として出版しました。しかし、ヨハン・スヴェンセンの民族的な要素が強い交響曲第1番を聴いたグリーグは、自身の交響曲がドイツ音楽の影響を受けていると感じ、「決して演奏してはならない」とスコアに書き込み、作品を封印しました。

死後の復活

グリーグの死後、未亡人が保管していた交響曲の自筆譜は、ベルゲンの公立図書館に移されました。そして、1981年、カルステン・アンデルセンの指揮により、ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団によって再演されるまで、この作品は長い眠りについていました。現在では、「グリーグ全集」に収録され、一般に演奏されるようになっています。

楽曲の特徴

この交響曲は、メンデルスゾーン、シュポーア、シューマンといった作曲家からの影響が色濃く表れています。特に、第1楽章はわずか14日間で作曲からオーケストレーションまでが完成したとされています。

楽器編成

フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、トロンボーン3（第3、4楽章のみ）、ティンパニ、弦五部という編成です。

楽曲構成

全4楽章構成で、演奏時間は約30分です。

1. 第1楽章：アレグロ・モルト ハ短調、ソナタ形式。金管楽器による序奏の後、クラリネットによる第1主題、ヴィオラによる第2主題が提示され、展開されます。
2. 第2楽章：アダージョ・エスプレッシーヴォ 変イ長調、ロンド形式。
3. 第3楽章：間奏曲（アレグロ・エネルジコ） ハ短調、複合三部形式。マズルカ風のリズムを持つスケルツォのような楽章です。
4. 第4楽章：フィナーレ：アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ ハ長調、ソナタ形式。第2主題は第2楽章の副主題を基にしています。

外部リンク

交響曲（自筆譜）の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)
2つの交響的小品作品14（第2・3楽章の編曲）の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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