交響曲第2番 (カバレフスキー)

カバレフスキー：交響曲第2番 ハ短調 作品19

ドミトリー・カバレフスキー（Dmitry Kabalevsky, 1904-1987）によって1934年に生み出された交響曲第2番ハ短調作品19は、彼の初期の代表作の一つとして位置づけられる管弦楽作品です。この作品は、社会主義リアリズムの影響がみられる一方で、カバレフスキー特有の明快なメロディとリズム、そして情熱的な表現に満ちています。

初演とその広まり

この交響曲は、1934年12月25日にソヴィエト連邦の首都モスクワにて、イギリス出身の指揮者アルバート・コーツの指揮により初めて演奏されました。コーツはこの作品に強い関心を示し、1936年にはBBC交響楽団を率いてロンドンでのイギリス初演も実現させています。

作品が国際的に広く知られるようになったのは、特にアメリカ合衆国での演奏機会が増えたことが大きな要因です。1942年11月8日には、イタリアの巨匠アルトゥーロ・トスカニーニが名門NBC交響楽団を指揮してアメリカ初演を行いました。さらに、ロシア出身でボストン交響楽団の音楽監督を務めたセルゲイ・クーセヴィツキーも、この交響曲を積極的に演奏プログラムに取り上げました。こうした世界的な評価を持つ指揮者たちの手によって紹介されたことは、カバレフスキーの名を国際的な音楽界に確立する上で決定的な役割を果たしました。

楽器編成

交響曲第2番は、以下のような規模のオーケストラのために書かれています。

木管楽器: フルート3（うち1人はピッコロに持ち替え）、オーボエ2、コーラングレ（イングリッシュホルン）、クラリネット2（A管およびB♭管を使用、加えて1人はE♭管にも持ち替え）、バス・クラリネット（A管およびB♭管を使用）、ファゴット2、コントラファゴット
金管楽器: ホルン4、トランペット3（C管を使用）、トロンボーン3、チューバ
打楽器: ティンパニ、小太鼓（スネアドラム）、シンバル、ドラム（通常はバスドラムを指します）
弦楽器: 弦五部（第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス）

この編成は、多様な音色と厚みのある響きを生み出し、作品の力強さとドラマ性を表現するのに寄与しています。

楽曲構成

この交響曲は、伝統的な3つの楽章形式で構成されています。

第1楽章 アレグロ・クアジ・プレスト (Allegro quasi presto)

ハ短調。劇的で急速な楽章であり、ソナタ形式が採用されています。「アレグロ・クアジ・プレスト」（速く、ほとんどプレストのように）の指示通り、非常に速いテンポで進行します。冒頭の全オーケストラによる力強い響きに続き、対照的にクラリネットによって主要な第1主題が提示され、楽章の中心的な動機となります。

第2楽章 アンダンテ・ノン・トロッポ (Andante non troppo)

ト短調。緩徐楽章にあたり、「アンダンテ・ノン・トロッポ」（速すぎない歩くような速さで）と指定されています。ソナチネ形式で書かれており、フルートによって呈示される抒情的で美しい旋律が特徴的です。穏やかながらも内省的な雰囲気を持つ楽章です。

第3楽章 プレスティッシモ・スケルツァンド (Prestissimo scherzando)

変ホ長調。きわめて速く、遊び心に満ちた（スケルツァンド）楽章です。速度指示は「プレスティッシモ」（きわめて速く）であり、文字通り猛烈な勢いで駆け抜けます。形式はロンド形式に基づいており、快活でリズミカルな主題が中心となり、躍動感あふれる展開を経て全曲を華やかに締めくくります。

カバレフスキーの交響曲第2番は、その力強い構成と色彩豊かなオーケストレーション、そして明快な音楽語法によって、作曲家自身の個性と時代の息吹を伝える重要な作品として演奏され続けています。

参考文献

「最新名曲解説全集3 交響曲III」（音楽之友社）
大植英次指揮、ハノーファー放送フィルハーモニー管弦楽団による録音のライナーノーツ（cpo盤）

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