交響曲第3番 (スクリャービン)

スクリャービン 交響曲第3番《神聖な詩》

アレクサンドル・スクリャービンが作曲した《交響曲第3番「神聖な詩」（フランス語: Le Divin Poème）》作品43は、彼の音楽的転換期にあたる中期に位置づけられる管弦楽曲です。1904年頃に発表され、大規模な編成と独特の構成を持つことで知られています。

楽器編成

この交響曲は、以下の楽器編成で演奏されます。

ピッコロ 1
フルート 3
オーボエ 3
イングリッシュホルン 1
クラリネット 3
バスクラリネット 1
ファゴット 3
コントラファゴット 1
ホルン 8
トランペット 5
トロンボーン 3
チューバ 1
ティンパニ 1
ハープ 2
第1ヴァイオリン 16
第2ヴァイオリン 16
ヴィオラ 12
チェロ 12
コントラバス 8

演奏時間

演奏時間は約47分で、各楽章の演奏時間はそれぞれ以下の通りです。

第1楽章（序奏を含む）：約25分
第2楽章：約12分
第3楽章：約10分

楽曲構成

この交響曲は、以下の3つの楽章から構成され、各楽章にはフランス語の標題が付けられています。各楽章は切れ目なく演奏されます。

1. Introduction : Lento（レント）第1楽章の序奏で、主要な動機が提示されます。
2. Luttes : Allegro（「闘争」アレグロ）ハ短調
3. Voluptés : Lento（「悦楽」レント）
4. Jeu divin : Allegro（「神聖なる遊戯」アレグロ）ハ長調

第1楽章「闘争」

第1楽章の序奏では、トロンボーンを中心とした低音域で、この交響曲のモットーとなる主題が力強く提示され、トランペットがそれに呼応します。続いて第1ヴァイオリンと木管楽器が加わり、音楽は展開していきます。

主部では、提示された主題が変形されながらヴァイオリンに現れ、次第に低音へと受け継がれ、クライマックスへと向かいます。その後、弱音器を付けた弦楽器による賛美歌風の旋律が登場し、続いて木管楽器とヴァイオリンが第2の旋律を奏でます。「ドレスデン・アーメン」を連想させる主題も登場し、トランペットが主要な主題を力強く奏でます。再現部を経て、ホルンとヴァイオリンによって最初の主題が再び現れ、激しい終結を迎えますが、徐々に弱まり、途切れることなく次の楽章へと続きます。

第2楽章「悦楽」

第2楽章は、木管楽器とホルンによって甘美な旋律が奏でられ、その後、弦楽器に引き継がれます。トランペットは前の楽章の信号音を繰り返し奏で、旋律は徐々に情熱的に変化します。しかし、ホルンの力強いパッセージによって一度中断されますが、そのホルンのパッセージが次第に喜ばしい調子を帯びてきます。最後に低音がトランペットの信号音を転回させて響かせるうちに、次の楽章へとつながります。

第3楽章「神聖なる遊戯」

第3楽章では、弦楽器のリズミカルな動きに合わせて、トランペットが信号音を変奏させながら奏でます。木管楽器とホルンによる和音の伴奏に乗って、オーボエとチェロが第2の旋律を奏でますが、すぐに最初の旋律が戻ってきて中断されます。展開部の後、ホルンのエピソードと転回された信号音が再び現れます。終結部では、第1楽章の主要主題が回帰し、ユニゾンによる信号音とともに、余韻を残して終わります。

評価

この交響曲は、その複雑な構成と壮大なスケールから、オーケストラで演奏されるよりも、ピアノで演奏した方が理解しやすいという意見もあります。実際、スクリャービン自身がピアノでこの曲を演奏した際、その印象はオーケストラ演奏よりも優れていたと評されています。1905年には、レフ・コニュスによってピアノ4手用に編曲されています。

外部リンク

* Symphony No. 3の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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