交響曲第3番 (ヴィラ＝ロボス)

交響曲第3番「戦争」（A Guerra）

エイトル・ヴィラ＝ロボスによって1919年に作曲された交響曲です。「戦争」という副題を持ち、第一次世界大戦の終結を告げるヴェルサイユ条約の調印を記念する作品として位置づけられています。

概要

1919年、ヴィラ＝ロボスはヴェルサイユ条約の締結を祝うための交響曲の作曲を依頼されました。この依頼に応じ、リオデジャネイロで集中的に作曲を進め、5月上旬に着手してからわずか6週間足らずの6月12日には全曲を完成させました。作品には「戦争」（A Guerra）という副題が付されていますが、初期の手稿譜には「第1象徴交響曲」（1a Sinfonia Simbólica）とも記されていました。

本作は、ルイス・ガスタン・デスクラニョール・ドリアの論考に基づいた標題的な三部作の最初の作品です。続く第4番には「勝利」（A Vitória）、そして第5番には「平和」（A Paz）という副題が与えられています。また、音楽様式の上ではヴァンサン・ダンディの影響を受けて書かれたヴィラ＝ロボスの5曲の交響曲シリーズにおける3番目の作品でもあります。

初演は段階的に行われました。最初の二つの楽章は、1919年7月31日にリオデジャネイロ市立劇場において、作曲者自身の指揮、市立劇場管弦楽団の演奏によって披露されました。これは、当時のブラジル大統領エピタシオ・ペソアに献呈された演奏会の一部として行われたものです。全曲の初演は、同じリオデジャネイロ市立劇場で1920年9月に、同じ演奏陣によって実現しました。この演奏会は、ベルギー国王アルベール1世と王妃エリザベートを称えるために開催され、交響曲第4番も同時に演奏されました。しかし、この時の演奏はまだ三つの楽章のみであったと考えられています。特に、緩徐楽章（第3楽章）は1946年以前には存在していなかったことが確実視されており、おそらく1955年の作品出版の直前に加えられたものと推測されています。

楽器編成

この作品には、異なる内容を持つ二種類の手稿譜が現存しています。一つは三つの楽章を欠いた初期のもので、後年出版された楽譜に比べていくらか大規模な編成を指定しています。以下に最終的な版に近い編成を示しますが、括弧内には初期の版における追加または変更点を示します。

ピッコロ
フルート2（4）
オーボエ2
コーラングレ
クラリネット2（4）
バスクラリネット
ファゴット3
コントラファゴット
ホルン4（8）
トランペットまたはコルネット4
トロンボーン4
チューバ
ティンパニ4
タムタム
シンバル
マトラカ
バスドラム2（4）
スネアドラム2（4）
（シロフォン）
チェレスタ
ハープ2
ピアノ
弦五部

これらに加えて、二つの小編成のブラスバンドが加わります。その編成は以下の通りです。

E♭のピッコロビューグル
B♭のビューグル2
コルネット4
トロンボーン4
アルト・サクソフォーン2
バスサクソフォーン2
B♭のコントラバスサクソフォーン2
E♭のコントラバスサクソフォーン2
任意の混声合唱1群または3群

初期の三楽章版では、弦楽隊の奏者数が細かく指定されていました。第1ヴァイオリン26人、第2ヴァイオリン24人、ヴィオラ12人、チェロ12人、コントラバス12人という大規模な指定により、総員は164人にも達し、これはリヒャルト・シュトラウスが彼のオペラ『エレクトラ』や『サロメ』で指定した大編成をも凌駕する規模でした。

楽曲構成

最終的な形では、この交響曲は以下の4つの楽章から構成されています。各楽章には標題が付されています。

1. Allegro quasi giusto: 「人生と労働」（A vida e o labor）
2. Como um scherzo: 「陰謀と囁き」（Intrigas e cochichos）
3. Lento e marcial: 「苦難」（Sofrimento）
4. Allegro impetuoso: 「闘争」（A batalha）

ヴィラ＝ロボスの他の交響曲とは異なり、本作では特定の主題が楽章間を巡る循環形式は採用されていません。しかし、隣り合う音を用いた共通のモチーフが全ての楽章に見られます。特筆すべき点として、本作の一部の主題が交響曲第4番で再利用されており、これにより二つの作品間に循環的な繋がりが生まれています。

作曲家は第1楽章の構成に細心の注意を払いましたが、その構造は伝統的な形式にすっきりと分類できるものではありません。もしこの楽章を伝統的なソナタ形式として捉えるなら、中間部の展開部分は極めて小規模と言えるでしょう。主題の再現部においては、提示部で提示された元の形とは対照的な響きや楽器法による色彩的な変化が意図されています。例えば、冒頭で弦楽器の細かな動きに乗せて木管楽器により提示される第1主題は（後にホルンとコルネットが加わります）、再現部ではクラリネットとファゴットの同様の伴奏を伴いながら、今度は第2ヴァイオリンとヴィオラが主題を奏します。この楽章は、ABCDA'B'という形式にコーダが付随する一種のロンド形式として解釈することも可能です。この場合、Dの部分は実質的にエピソード的な性格を帯びます。しかしながら、二度現れるAの部分は属調（ト調）および上主音（ニ調）で提示され、楽曲の主調であるハ長調に戻るのは終盤のコーダになってからです。

第2楽章の主要な主題は、ピョートル・チャイコフスキーの交響曲第6番（悲愴）のスケルツォ楽章から着想を得て書かれたものです。

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